プラモデルを買うのは、やっぱり楽しい。/タミヤ 1/48 雷電21型

 床屋の予約をしていたら、曜日を勘違いしていて「今日は予約入ってませんよ」と店員さんに言われてしまった。そんな日は帰りに模型店を覗く時間ができてラッキーだと思い直すほかない。棚をザーッと眺めていたら、味の濃い箱絵が目に飛び込んできて、キミに決めたと手に取る。セロテープで止められているから箱を開けることはできない。ドキドキしながら、レジで会計を済ませる。

 家に帰って、箱を開ける。その前に、中身はどんなプラモなんだろうと夢想する。緑色の戦闘機だから、パーツも緑色なのだろうか。それとも、灰色なのだろうか。この時点で、かなりすごい二択。買ってきたポテチの中身がコンソメパンチなのか、のりしおなのかわからないくらい、エキサイティングだ。

▲オープン。グレーだ。ホッとするような、ギクッとするような。

 冒険は終わらない。このプラモ、たぶんすごく昔に作られたものだと思うけど(それがまだまだ現役で何度も再生産されながら棚に並んでいるんだけど)、表面のディテールはどうだろうか。パネルラインは凸で表現されているのか、凹で再現されているのか。

▲うぉっ、凸だ……!ん……?凹んでいるところもあるぞ。

 凸はヤスリをかけたら消えてしまう。凹んでいればスミ入れができる。だから凹んでいるのがいいと昔の自分は思っていた。でも、毎日模型に慣れ親しんでいる今なら、凸のいいところも凹のいいところもわかる。人生は凸凹。どっちも好きになったほうがお得だもんね。

▲主翼をひっくり返して、凹のディテールにやっぱり嬉しくなったり。

 心が動く。ハコを開けて、パーツをためつすがめつしているだけで、不安と期待とが交互にやってきて、このグレーがどんな色になるのか(自分が塗るんだけどね。)ドキドキワクワクする。ジャケ買いしたCDやレコードを初めてプレイヤーにかけるときのように、そして最初のフィーリングと何度か聴いたときとで変わっていくように、プラモはただそこにあるのではなく、あなたの心の動きとともにある。

▲説明書は二つ折りで一気呵成に完成していくスタイル。こんなタミヤのプラモ、見たことないぞ!

 見たことのない景色が心を打つように、説明書のスタイルひとつでも「そうきたか!」と驚くことがある。誰もが早く作りたいだろうし、誰もが完成したときの姿に気を取られているのかもしれないけど、きっとあなたも説明書を見て何かを思い、何かを考えている。

▲カッコいいパイロットフィギュアはそれだけで気分がアガる。
▲そこにもうひとりの立ち姿があったら、気分は倍アガる。

 プラモとの出会いはハコだ。新品ならばどうやったってハコの状態で買うもの。そこに何が入っているのか、そして組み上げたらどうなるのかは、ハコを開けて、組んだ人にしかわからない。もっと言えば、そこにどんな気持ちの動きがあったのかは、実際に味わったあなたにしかわからない。そしてこの世界に、プラモは星の数ほどある。

■nippperでは、こんなふうにしてみなさんのプラモレビューをお待ちしています。「今日、こんなプラモを買ってきた!」からの、「ハコを開けたらこんなことになっていたよ!」「で、こんな気持ちになったぞ!」というテキストと写真を、わりとたくさんの人に伝えることができます。ディスクレビューやライブレポみたいに、まだ見たことのないプラモをみんなで開けて、みんなでシェアすることができたら絶対に楽しいはず。ぜひ、contact@nippper.comまでいきなり送って(ちょっと心配な人はお問い合わせを)ください!お待ちしております。

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からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。