「頑張った」と言える優しい模型。/タミヤ 1/20 HONDA RA272

 箱を開けて「勝ったな」と思う瞬間というのがあって、タミヤの1/20 HONDA RA272はそうでした。プラモデルの箱を開けるという行為は、裏返しになったテストの問題用紙をパッとめくるときと似ていて、中身を見た瞬間に良い仕上がりが期待できるかどうかみたいなところがあると思います。

 「GOOD YEAR」の文字がプリントされているタイヤ。

 淡いアイボリー、黒、シルバーの成型色。さらにクリアーも加えて4色の構成。

 加えて言うと、私が今まで作ったF1のプラモデルに比べると圧倒的にパーツが少ないです。

 全てが整った内容なので、あとは丁寧に作るだけ。ポイントはエンジンとボディがビシッと一直線に並ぶこと。作っているときは組み立て途中のものをグルグル回しながら何度も何度も水平垂直を確認しましょう。手で持って遠くに離して見てみたり、目を細めたり片目を瞑って具合をチェックしていきます。

 チェックの過程でマフラーの取り付け具合だとか、リヤサスアームの付き方、ミラーの取り付け角度などが説明書に図示してあるのですが、この図が本当にそっくり。当たり前なんですけどね。説明書まで丁寧に作られていることがよくわかる好キットでもあります。図の通りになっていれば大丈夫という安心感は、葉巻型のF1という見慣れないマシンを作る上では嬉しい配慮です。

 デカールは日の丸部分が少しだけ頑張りどころで、ケミカル(軟化剤やノリの類)とドライヤーを使う必要が出てきます。私はマークセッターを使って貼り付けました。日の丸の中央部分、下のクリアパーツも本来はデカールの貼り付け指示がありますが、せっかくのクリアパーツが勿体無いと思い今回はスルー。

 プリント済みのタイヤ、4色の成型色のパーツと完璧なおもてなしでありながら、所々に適切な難易度のポイントがあって「ここを頑張った」と自分で思えるのが良いなと思います。

 私の場合は日の丸のデカール貼りを特に頑張りました。マークセッターとドライヤーを使って凹凸にしっかり馴染ませていく過程は緊張感もありますが、みるみる馴染んでいくのを目で見ていると、ゾクゾクします。

 とても良いキットなので普段はF1を作らない方も是非作ってください、そして楽しかったところを教えてくれると嬉しいです。

<a href="/author/crisci4mens/">クリスチ</a>
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。