前の仕事が接客業だったのだけど、ある日一眼レフを買ったのが嬉しくて売り場に持っていった。みんなが珍しそうに見ていたし、私は私で店のブログに載せる写真を一眼レフで撮ったりして、それはそれでとても楽しかった。
5年くらい前の3月に、アルバイトのスタッフが辞めると言うので本人が仕事をしているところを遠くから秘密でパシャっと撮っておいた。彼の勤務が終わる日に写真をフレームに入れて渡したら喜んでくれて、それからは別の売り場の人がやってきて私の働いているところの写真を撮ってくれたりして、今も思い出の一枚になっている。
お店を異動することになって、新しい店でも一眼レフを使って写真を撮っていると、今度も他の売り場の人がやってきて、面白がって撮ったりした。次の日にプリントして渡すとやっぱり喜んでくれた。
写真を渡したとき、「働いているところの写真って撮らないよね」という話が出た。
働いている姿のように、わざわざ撮らないと残らないのがプラモ製作中の写真だと思う。完成後は「完成しました!」って撮るけど、製作中のプラモを撮影することは(SNSで逐一報告する人でもない限り)ほとんどない。作っているときの写真は完成後には撮れないのだけど、プラモはいろいろな部品が組み合わさって密度のあるカタチが出来上がっていく。例えば戦車なんかは組立手順も多く、途上のさまをわざわざ撮るには恰好のプラモデルだと思う。
たくさん作った転輪をジャラジャラジャラって手で集めながら写真を撮るのは作っているときにしかできないし、内部構造がむき出しな様子なんかも完成後に撮るのは難しい。
私が売り場でみんなの写真を撮ったり、反対に撮られたりしたように、プラモデルを製作しているときの写真は完成した後に振り返るとなんだか楽しくて、しばらく経ってから見ると今度は懐かしくなったりすると思う。
もし、撮っておいたプラモデルと自分が離れ離れになったときに見ることになるとすれば、作ったときのことが一気に思い出されて、もしかすると少し鼻の奥がツーンとして目が潤むかもしれない。
今回はブルムベアの写真を載せてもらっているのだけど、10年後に立派なおじさんになったときに、このページを見て懐かしむことになると思う。作っているときを記録に残しておくことは回り道かもしれないし、やらなくても良いことかもしれないけど、「やっておいてよかったこと」になる日がいつか来るような気がする。
「途中写真を撮る」ということ。いつもやるのは大変なので、たまにやってみましょう。私も、何か作るときはたまにやってみますので、一緒にTwitterで遊びましょう。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。