作る前に、立ち止まりたくなる。ワタシとプラモをつなぐ説明書の話

 私は説明書が結構好きで、なぜかというと一番わかりやすくメーカーの色みたいなものを受け取れるから。ランナーを見たり、組み立てたりするだけでわかるものもあるが、どちらかというとそれは指の感覚的な世界で、説明書と少し違う。説明書はどちらかというと言葉の世界や漫画のコマ割りに近いように感じられる。そこにそれぞれの特性が潜んでいると思う。

 タミヤの説明書はとてもわかりやすい。シンプルかつ丁寧。工程も分けすぎず、まとまりすぎずということで、示されている手順の番号ごとに得られる満足感が適切だと思う。

 ハセガワの説明書はA帯、B帯と言われる割と低価格なものは概要図といってもいいものが多い。私は説明書の中ではこれが一番好きで、頭の中に説明書が絵のように記憶される。ただ、その分、詳細な点は実際にパーツを合わせながら探る部分もある。構想から実践への移行がスムースに行えるとも思っている。

 ドイツレベルの説明書はアイコンでいろいろなことが示されているのと、工程が細かく分けられている。これはこれで面白い。順を追って行うには苦労がないのと、説明書の分量の割に実際の作業にかかる時間は短い。フルカラーでページ数が多いので、一瞬作るのが大変そうだなと思うが、そうでもないといった感じだ。

 他にもいろいろなメーカーの説明書があるが、説明書は模型が発する声みたいなもので「こういう風に遊んでね!」と言っているようなものだ。世界中で言語が異なるように、それらが様々な形態で記されているのが説明書だと思う。

 そして、それには相性があると思う。

 例えば、先ほど挙げたように私はハセガワの飛行機の説明書が一番好きだ。細かくは書いていないし、工程もシンプルに記載されている。パーツ点数が少ないとそのまま頭に絵として記憶できそうなくらい。なので、頭の中で組み立てを何度もシミュレーションしやすい。寝る前に頭の中でそれを考えるもの楽しかったりするので、相当気に入っていると思う。

 そしていざ組み立てとなると、その少し抽象的な説明書だけだとわからない部分がある。ただし、それはパーツごとにどこに合わせたらいいのかガイドがあるのでそこから探ることができる。これが一番わかるのは脚回りで「ハセガワ文法」と思わず言いたくなるような面白さがある。説明書で5割、パーツ同士を合わせながらその形状で5割理解させてくる感じだ。

 タミヤはその辺は無意識に合うように説明書とパーツの形状でバッチリ工夫してくるのが優等生という感じで素晴らしいし、事細かなドイツレベルは漠然とした「ものつくりの国ドイツ!」というイメージそのまま。海外のものなのにそれを読んで完成するというのが不思議なところでもある。

 プラモを組み立てるのに必要な説明書ではあるが、こうして書いてみると模型と組み立てる人間の間に立つ、通訳みたいなもので、そう思うと箱を開けるたびに、読むたびに親近感や新しさを一番感じられるところなのかもしれない。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。