プラモの袋でトリップだ。吸い込め、インドの風!

 旅行行きたい!海外旅行!でも行けない!でも大丈夫!(吉高由里子の声で)

 みんな、こんなときだからこそ、プラモ屋さんに行って海外のプラモを買うのだ。買おう。どこに行くかはキミ次第だが、俺は今日はインドに行きたい気分だ。カレー食べて日がな一日ガンジスを眺めて、チャイを飲んでブラブラと仏跡を散歩したのはもう7年前。

 三島由紀夫は言った。「インドにいける奴といけない奴がいる。それは個人のカルマによる。 君がインドに行くのではない。インドが君を呼ぶんだ」と。

 グローバリゼーションの波はプラモにも押し寄せ、いまや大英帝国のブランドで売られているプラモはインドで生産されている。レッツ、吸引。

フミテシの記事を見習って、エアフィックスのビンテージクラシックスからLCM3&シャーマンのセットを買った。

 エアフィックスはイギリスの老舗プラモメーカー。その超古いキットを当時のパッケージで復刻して売っているのがヴィンテージクラシックスだ。このキットは54歳。出来がいいか悪いかじゃない。このパッケージが家にあったらかっこいいじゃないか。超安く買える絵画だぞこれは。

 ハコのサイドには重要なことが2つ。1966年に金型が作られ、いまはインドで製造されているということ、もう一つは世界最高のデカール印刷会社、イタリアのカルトグラフ製デカールが入っているということ。

 オープン・ザ・ボックス。ハコは密閉されているわけではないので、もはや秋葉原の空気がふわりと漂うだけ。しかし、その中にはワクワク袋が入っている。緑とグレーのパーツが見える。もうこの時点でドキドキが止まらない。キミが好きだ。大好きだ。

 オープン・ザ・ビニール袋。中に閉じ込められていた空気を一気に吸い込め!絶対に袋をかぶってはダメだ。窒息死の危険がある。

 トリップ・トゥ・インディア。この瞬間こそ、エアフィックス製キットを手に入れたものだけが味わえるヴァイブスの最高潮。

 宴のはじまりだ。緑の戦車と、ブルー・グレーのフネの予感がそこにある。

 しゃがみマン、口に手を当てるマン、ひげマン。君たちは誰なんだ。

 所定の位置、ヨシ。

 カルトグラフ製のデカールを貼ってフィニッシュする日を夢想しながら、もう一度ビニール袋の残り香を嗅ぐ。ニューノーマルの、海外旅行。2時間だけのバカンスで、どこか異国にトリップしてみるのも、またオツなもんです。