飛行機、自動車、オートバイ。エンジンが外側から観察できる乗り物って楽しいですよね。この金属の向こう側で、ガソリンが爆発してシリンダーが上下して、複雑な機構がガシャガシャ動いているんだ!ということを想像するでけでも興奮するし、なによりモチーフの心臓が見えているわけですから、そこにはいろんなドラマのきっかけが潜んでいます。
新品のエンジンもカッコいいけど、やっぱり「生きている機械」を演出したければオイルやホコリや熱でギトギトになった状態を演出したくなります。こまかなディテールもしっかり見せたいし、金属っぽさや微妙な色合いもそこに乗せてみたい。真面目に塗り分けているとなかなか大変な作業なんですが、これを一発でそれらしくしてしまう魔法みたいな塗料があります。

Amazonでの取り扱いがないのがちょっと残念。
似たものだとファレホから発売されている同名の「エンジングライム」というカラーがあります。
今回男前になってもらうのは、モデルキット999のコルセアのエンジン。モデルキット999というのは本体価格999円でサクッと作れる手頃なプラモ。こういうマテリアルをちょっと試してその感触を確かめるのにも最高のパートナーですから、みんな買っていろいろなテクニックやツールにチャレンジしてみよう。


コルセアのエンジン、本来ならシリンダーブロックとかプラグとかギアボックスとかがいろいろな色に塗り分けられていています。しかし、実機を見るとカウリングの奥、プロペラの隙間からちらっと見えるエンジンはほとんど真っ黒。ぶっちゃけものすごく塗り分けても見えなっちゃうところが8割なんです。
もちろん、実物どおりにエンジンをちまちまと塗り分ける楽しさはあります。しかし、サクッと飛行機のカタチを楽しみたいときに、コクピットやエンジンをシコシコ作る時間がすごく長いと途中でモチベーションがキープできなくなってなんだか嫌になってしまうこともあります。このプラモは神様が見ているから全部のパートを100のクオリティで仕上げるんだ!と決めたときはそれでも頑張らなきゃいけないのがプラモですが、「ここは10でいいや、ここはちょっと気になるから30、最後の塗装とデカール貼りを80でやろう!」というペースや気合の配分が上手になると、プラモを作れる数がぐんと増えます。

今回は「さっさとコルセアのカタチが見たい。でもエンジンがギンギラギンだと興ざめなので、『エンジンらしさ』がそれなりに出ているといいな」くらいのテンションでこの部分をすっ飛ばそう、という魂胆です。


このエンジングライム、なんとも言えぬ茶色がさーっと広がり、凹んだところにはスミ入れのように、広い面にはオイルがデローンとかぶさったような見た目になるのがナイスです。表面張力や濃度が適切にコントロールされた油絵の具系の感触なので、市販の汚し用塗料ともまた違った、「これぞエンジン!」という雰囲気を一発で演出できる魔法の液体。


このエンジングライムは、金属色の上にドバっと塗るだけで効果抜群。あまり汚らしい見た目にしたくない場合は市販のペトロールや専用の薄め液を使って濃度をコントロールすることで、もう少し控えめな表現もできます。
もちろん、濃いめの部分をすくって使えばよりハードな「ホコリとオイルが泥のようにこびりついているところ」も作れますし、下地の色とマッチさえすればウォッシング(機体の表面を洗うように塗って、全体の色調を落ち着けたり統一したりする技法)にも使えます。

詳しい使い方はAKが動画で紹介しています。これはかなり技巧的で、リアルなエンジンを実直に表現するための手順となっていますが、単純にドバっと使うだけでも「それらしさ」を演出するのには超有効。スキルに合わせていろんな使い方ができるエンジングライム、本当に好きな塗料ですので常備することをオススメします。みなさんも、ぜひ。