爆撃機を作りたい!と思ってもたいていが大きくて、作れたとしても部屋に置くところがなかったりして結構悩ましい。作りたい理由は特徴的なグラスノーズと呼ばれたりする前面キャノピー、両翼に付くダイナミックなプロペラ、後ろを向いた銃座……見ているだけで力強く飛ぶであろう姿や意地でも飛ばしてやろうという設計者の考えが生む迫力に心が動かされる。
そんな「かっこいい!」「すごい!」を抽出した模型というのがあって、MENG KIDSの飛行機たちがそれ。デフォルメされたその姿にワクワクしながら私はHe177を選んだ。

ハコを開けてみると個包装されたランナー、黒、灰、透明の三色の成型色、機体下部がまさかのワンパーツ……と、剥かれた甘栗、カットされたスイカと言わんばかりの充実っぷりで衝撃。接着剤も不要ということで、こんな甘味に溢れた模型も珍しい。

しかも、特徴的な前面キャノピーはクリアパーツの上にぴったり収まる格子状の枠が別パーツ。ケーキの上にイチゴを乗せる権利が購入者のために用意されているというありがたさ、というか「ここを楽しめ!」と言わんばかりのパーツ分割の連打。

驚きのパーツ分割、模型設計の巧みさを味わいながらあっという間に出来上がり。
パーツ点数が少ない場合ってややもすると薄味すぎる場合がありますが、このキットに関してはそんなことは全くなし。理由はシンプルでユニークなもので、それは「デフォルメの面白さ」を楽しむことができるから。
He177の特徴はしっかり味わえるけど、どこを短くして、大きくして……と設計者が考えたバランスをも楽しめるので、「何がどれくらいの大きさに変わっているのか?」を感じながら作れるというわけ。これはとくに普段飛行機を作っている人ならなおさらそうで、大きい垂直尾翼とか、キュッと短くされた翼幅といった、普段と違うバランスを楽しめると思う。
He177が割と直線的なフォルムをしているせいかデフォルメされても丸っこくなりすぎず、一定のシャープさが保たれているのも良いところ。

そして最後、箱に収まるのが偉い。箱も厚手の強度のある紙で、かなり破れにくいです。なんでそんなことを知っているかというと、実はこれは二機目で一度完成させたものの、手放してしまったから。箱をビリビリに破ろうと思ったらとっても硬かった。
手放したその翌日にすぐに後悔して再注文したキットということで、それだけ私が気に入ったキットだということもここに書いておきます。