カーモデルを作るのに「全クリ」は必須なのか!? 月刊モデルグラフィックス2020年8月号。

 今月の月刊モデルグラフィックスの巻頭特集は「クルマ模型ってめんどくさい!」という刺激的なタイトル。模型専門誌をはじめ、幅広く活躍するカーモデラー小田俊也氏の作例を3つも用意し、同じく有名カーモデラーである高橋浩二氏との掛け合いを挟みながら「カーモデル、作ってみたいけどなんだかすげえハードル高そうなんだよな」と思っている人向けに「作ってみようぜ!」と語りかける内容となっております。

 組み立て、塗装という作業自体はほかのプラモと同じですが、ツヤツヤで隙のない(=つまりディーラーに並んでいる新車のような)完成品を作ろうとすると膨大な時間がかかり、最後まで緊張感の続くカーモデル。説明書の手順通りに作業ができるのか、それともプロにはプロのやりかたがあるのか?というのがキモになるわけですが、結局のところは基本的な作業の積み重ねであることが明らかになっていきます。

 ひとつひとつの作業をこまかく分解していけば「なるほど」と思えるものかもしれませんが、当然ながらプロでも失敗はするし、修正ややり直しも多発する……というのには勇気づけらるような、なおさらビビるような。
 しかも違う性格の作業がいっぱいあるし、これがひとつひとつコラム的に構築されていて、特集を通して読むと「これを全部やればプロと同じようなカーモデルが完成するのかも!」と思えるかもしれません。

 どっこい、特集ド頭のリード(導入文)にハッキリと「一朝一夕には作例と同じようなレベルのものが作れるわけではありませんが」と書いてあります。つまり、これは月刊誌でありながら、しっかり参考書として(つまり「何度も読んで、トレーニングをすること」が想定された)編集されたものなのだな、ということを頭の片隅に置いておくことが超大事。

 たとえば長くて感動的な文章を書くのも、分解していけば「一つ一つの文字を積み重ね、適切な言葉をチョイスする」という基本的な動作の積み重ねです。とはいえ、これをすべてミスなくこなすのは難しいこと。例えばキレイにボディを成形するとか、クリアーパーツを貼るとか、曲面にデカールを貼るとか、テロテロのツヤありに仕上げてみるとか、こうしたことをきちんと分解してトライすることは、(同時に挑戦することがひとつふたつであれば)そんなにめんどくさいことじゃないよ!というふうに捉えてみましょう。

 10個の課題を設定してプラモを作ると、10回の失敗チャンスがあります。これは結構怖い。リカバリーのマインドセットも大事ですが、やっぱり失敗するとしょんぼりして、次に立ち向かうのがいやになっちゃうこともあります。
 だからこそ「今日買ってきたカーモデルは、ここに気をつけて組んでみよう。つぎに買ってきたやつは内装を頑張ってみよう、つぎのやつは研ぎ出しを……」と、いちどきに挑戦することの数を減らせば、失敗の可能性は下がるはず。初めてプラモに触れる人だって、このモデグラに書いてあることにビビる必要はありません。欲張らずに、ひとつずつ、気負わず試してみるうちに、いつか「怖いプラモなんてないぞ!」と思えるようになるはずです。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。