クルマのプラモにデカール貼りたきゃモデルグラフィックス最新号は絶対に買い/これ以上実践的な特集がありえないワケ。

 カーモデル、とくにレーシングカーとか痛車ってマジでデカールいっぱい貼らなきゃいけないし、それが最後の見た目にめっちゃ影響するというか、ほとんどボディワークで仕上がりがキマるというのがやばい。いくら内装凝ってもエンジン丁寧に組んでも、ボディが台無しだとそこで試合終了。おっかねー。

 昔、パイセンのモデラーが「戦車とか飛行機は汚し塗装で最後グググッとよくなる可能性があるけど、カーモデルって最後の工程に近づけば近づくほど作業が難しくなって、不燃ごみになる可能性と隣り合わせの綱渡りになるからやべえんだよ!」と言っていたが、俺も本当にそう思う。道が狭くなって最後は藤原竜也みたいな声を出しながら鉄骨を渡るようなモデリング……。

 ところが、上の写真を見てほしい。これは3年前にオレが初めて作った箱車のレーシングカーである。車体の95%くらいがデカールに覆われているこのヤバそうなモデル、最初は「いやいやいやいや絶対無理」と尻込みしていたのだが、このデカールを製品化したアニキから「作ってみなよ。最後に半ツヤクリアー吹いておけばわりとイケる」と言われて一念発起。

 しかしどうしても最初の一歩が踏み出せないときに、オレは高橋浩二というカーモデルめっちゃウマいアニキと話し、「いったいどうすれば貴方みたいにきれいなカーモデルができるんじゃい」と直接訊くチャンスに恵まれたのだった。そして、できたのである。いきなり。初回で。高橋アニキ、マジですごいと思った。パイセンの言うことは聞くもんである。

 で、なんとモデルグラフィックス最新号にはその時聞いた話を100倍濃くして懇切丁寧に全部書いてある。すごい。マークソフターを使うのは最後の手段。綿棒を使うと破滅する。一枚のデカールを完璧に貼るにはこれくらいの時間がかかる。そうした高橋流のノウハウがアタマから尻尾までミヂミヂに詰まっているのだ。これはすごい。レースカーモデリングの虎の巻である。

グッドスマイル 初音ミク AMG 2017 SUPER GT Ver. 1/24scale用デカール

 プロでも失敗する。プロでも嫌な作業がある。プロでも絶対にやりたくないことがある。しかしそれを乗り越えないとどうしても完成しないということは、乗り越える方法があるのだ。ぶっちゃけ「これを読めば簡単にできるようになる」という話じゃない。むしろ、簡単に貼れるところはいいけど、マジ無理っしょ……という場面に遭遇したときに(あるいはマリオがクリボーにぶつかってしまったときに)放り投げるのではなく、どうやってリカバーしたり前を向く心をキープできるかという話のほうが多い。

 泣く子も黙るイタリアのカルトグラフ社製デカールがなぜすごいのか。デカールやインレタはどうやれば自作できるのか。ケミカルやツール&マテリアルはどうやって選べばいいのかなどなど、とにかく特濃のデカール特集。一度はレースカーを作ってみたいぜ……と思っているなら、必携の書だ。マジでこれを超える体系的な特集はついぞ見たことがない。いろんなウマいモデラーが出てくるのではなく、一人の男が数々の失敗とリカバーを乗り越えて身につけてきた技が超実践的に描かれた、まさに『プロフェッショナル 仕事の流儀』なのである。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。