いきなりですが、モデリング・サポート・グッズ(以下MSG)というコトブキヤのキット、ご存じでしょうか。多分模型屋さんでも、ニッパーとか吊るして売ってるエリアの近所とか、プラモの箱が積んである棚とはちょっと離れたところで売ってるのを見たことがあるかもしれません。これ、”グッズ”って書いてあるし、ビニール袋に入ったランナーを吊るして売ってるし、なんか「いわゆるプラモデル」という体裁とはちょっと違います。模型専門誌でも「頑張ってMSGを作りこむぞ!」という記事は見たことがありません。

が、MSGは商品形態としてはプラモデルです。ランナーに部品がくっついてて、ニッパーで切り離して説明書に従って組み立てます。で、完成するとなんかロボットに持たせる銃とか、増加装甲とか、でかい剣みたいなのとかになります。MSGも昔は関節だけとかロボットの手とか、もっとモデリングをサポートする感じの内容だったんですが、最近はいろんなところに3㎜のジョイントを差し込める穴が開いてたりする、それなりに意味のある形のものが完成します。
このMSG、組み立て自体は別にものすごく楽しいわけではありません。「ここがこうくっつくんだ~!」とか「この部品の立体感はすごいな~!」みたいな、組み立てに関する驚きや感動があるかと言われると、そうでもないです。しかし、それほど突飛な組み立て方をしなくても安定して形になり、気がついたら組み立て終わっているMSGは、「なんか今日は、ちょっとだけプラモデルを完成させた気分になって寝たいな~」という気分の時に時に案外ありがたい存在です。別に意味があるものができなくてもいい、ランナーから部品を切り取って、ちょっと部品をくっつけて寝られればもうそれでいい……。MSGはそういう寝酒みたいな作り方ができる、キャベツ太郎みたいなプラモデルなのです。

そうやって布団の上とかでちびちび作りためていたMSGやらバンダイの「30 MINUTES MISSIONS」やらが、結構な数になってしまいました。佃煮みたいになってます。単に細かい部品だけを量産しても仕方がないので、ジョイントの径がどれも大体3㎜なのを利用して、何かメカを作って遊んでみることにします。
とはいっても頑張りたくないので、塗装とかはしません。基本的には3㎜のジョイントに頼りつつ、それでどうにもならないところは瞬間接着剤でのイモ付けでくっつけちゃう。「キット備え付けのジョイントだけで組み立てるぜ!」というのもいいのですが、ちょっとそれはそれでめんどくさいので……。




キットバッシュやミキシングビルドと呼ばれる、いろんなプラモデルの部品をぐちゃぐちゃにくっつけて形を作る模型の作り方があります(『スター・ウォーズ』の撮影用ミニチュアの作り方みたいなのの小規模なやつです)。あれはあれで大変楽しいのですが、一回部品をくっつけちゃうと「あ、これしくじったわ~」と思った時に後戻りするのが案外大変だし、なにより大量に部品を手元に置いてないと面白くないのが難しいところ。
しかし最近増えている有形ブロック寄りのプラモデルを組み合わせたミキシングビルドごっこなら、ジョイントを接着しなければバラバラの状態に戻せるし、「そうは言ってもここは接着したいな~」という部分は適当にくっつけちゃえばいいし、やりたい放題が可能です。ブロック遊びとプラモデル作りのいいとこ取りなわけですね。気に入らなかったり飽きたりしたらまたバラせばいいので、めちゃくちゃ気が楽。やりたくなったら塗装したりデカール貼ってもいいし、ガシガシ遊ぶから色塗らないでおこうと思ったらそれでもいい。手軽になんとなく工作した気分になれて、手元にはなんか変わった感じのメカが残る。その上この手のキットは安い。いいことづくめです。


これが果たしていわゆる「プラモデル」の文脈に乗っかった遊びなのか、はたまた有形ブロック遊びの延長にある遊び方なのか、個人的にはなんだかあんまり線引きできていないというのはあります。が、他のオモチャと組み合わせて遊べる、自分が作ったメカのオモチャというのはどう転んでも楽しい。3㎜ジョイントはオリジナルなメカを組み立てるためのパスポートなのです。というわけで、みなさまもぜひお試しくださいませ。