
アオシマの「LBシルエットワークス アヴェンタドール GT Evo Ver.1」でございます。言ってしまえば「めちゃくちゃ豪華な楽プラ」です。そして、こういう作りのシルエットフォーミュラマシンがもっと欲しいと思いました。張り出したフェンダーも巨大な羽根も、色分けされたパーツを組めば手に入る。あのイカれたカタチを楽しむのに、これはとてもいい方法だと思います。
私がシルエットフォーミュラを気にするようになったのは『オートスポーツ』2025年11月号の特集を読んで以来。市販車の面影を残しながら、幅も低さも尋常ではないレーシングカー。そこに憧れて愛車を改造した人たち……。『機動戦士ガンダム』と前後して現れ消えていった、いかにもプラモデル向きのモチーフだもんな。あの頃はイカれていたけど、クルマにはもっと剥き出しの面白さがあったんすよ……というお話にやっぱり憧憬を感じちゃいます。

リバティーウォークも彼らが得意としてきた「昭和の街道レーサーを思わせるスタイルを高級車へ持ち込む」というやり方を拡張して2018年にはシルエットを名乗るブランドを立ち上げ、今日まで車種を広げています。今回のアヴェンタドールもその流れにあって、昔のレーシングカーに惚れた人たちの好みが、いまのランボルギーニをこんな姿にしているわけです。こんなところでも一周回ってシルエットフォーミュラの再評価の流れが来ている……と言っても過言じゃないでしょう。

リバティウォークのカスタムカーをプラモデルにしてきたアオシマのLBシリーズも気がつけばNo.25。既存のカーモデルに改造パーツを取り付ける商品もありますが、今回は最初からこの姿を作るための設計。開口部だらけの黄色いボディにカチカチハマる巨大なエアロパーツ。接着剤不要で、シールも付く。ただ、そのぶんコストもかかっています。「初心者でも作れます」というキャッチコピーだけを頼りに買うには、ちょっとビビる値段かもしれません。

中身を見れば、エンジンは上から見える部分だけをまとめたレリーフ状のパーツがとてもカッコいい!シャーシは広いアンダーパネルに覆われ、足回りには実車の構造とは異なる車高やキャンバー角の調整機構が入っています。見えないところをメカとして再現するのではなく、外観にとことん力を注いだ設計なのが特徴と言えましょう。タイヤを傾け、車高を落とし、いちばんカッコいい立ち姿で飾る。このへんは正しくキャラクターモデルみたいで潔く、LBのクルマによく合った仕様です。

ところが、説明書をじっくり読み込むと”完成”への道筋は思った以上に悩ましいものです。説明書は塗装してデカールで仕上げるか、塗らずにシールで仕上げるかを選ぶという構成になっています。でも、少し経験があれば両者を行ったり来たりしたくなるはずです。シールとデカール(両者が完全に同じ構成になっていない!)を見比べると、シールでしか用意されていないところもあれば、デカールを使ったほうが絶対に楽だな……という場所もあります。質感ひとつとっても、樹脂のままがいいところもあるし、塗装したほうが明らかにそれっぽくなる部分もある。もちろん「組んでシール貼っただけでも見栄えがしますよ」ということは否定しないんだけど。

窓の塗り分けなんか、シールの輪郭をマスキングテープに写して塗り分けるという「説明書には書かれていないテクニック」だって使えます。デカールもシールも塗装も無塗装も許されているからこそ、欲しい仕上がりに近づく道がいくつも見えてきます。プラモデルの難しさは、自分がどんな完成品を欲しがるかで変わるわけですが、この箱には、手軽に作る人にも、手をかける人にも使い道のある材料が詰まっています。完成までの道程を、どうとでも走れる。このキットの値段はそのための豪華さを示したものであって、エンジンの部品数や内部再現の緻密さとはちょっと違う指標なのだ……というところが面白いのです。

ここまで触っているうちに、私はこのアヴェンタドールよりも、むしろ別のクルマのことを考え始めていました。いま手に入る往年のシルエットフォーミュラマシンのキットには、当時の熱狂のなかで発売され、再販を重ねてきたものがほとんど。もちろん買えるのは嬉しいんだけど、’80年代、’90年代の国産車が続々と新しいプラモデルになるなら、シルエットフォーミュラ(あるいはLBの手掛ける国産カスタムカー)にも、イマドキの精度と仕様で出会ってみたい。大きなボディは成形色を活かし、複雑なカラーリングにはシールもデカールも選べる。机いっぱいに広げた黄色と黒のパーツを見ながら、次はあのスカイラインやシルビアをこうやって作れたら最高じゃないっすか……と思うわけです。もちろんないものねだりではあるのですが、このアヴェンタドールはそんな夢を見せてくれるだいぶ素敵なプラモデルなのでした。