
ファインモールドから発売された1/48スケールの零戦。組み立てそのものを楽しませてくれる工夫に驚いたのもつかの間、さて塗装をしようと塗料を眺めて、またびっくり。「零戦の白」って、こんなにいろいろあるんですね。実機の塗色は「J3」と呼ばれるものですが、それを模型用の塗料でどう表現するかには解釈の余地があります。実機の色をそのまま小さな模型に塗っても、同じ印象になるとは限りません。そんなこともあってか、メーカーによってもけっこう違うのです。


わぁ。自分が作った零戦を並べても、ぜんぶ色が違うじゃないですか。手前には、すでに完成したファインモールドの1/48零戦二一型もいますが、こうして見ると「さあ、何色が良いのか」と、また考えてしまいます。ほかにはどんな色があるんだろう。ということで、塗料棚の奥地へと我々は向かった……。

まずは「零戦がグレーだとカッコイイ派」のエントリー。色名に「明灰白色」とあるみなさまに集まっていただきました。文字通り、明るい灰色がかった白です。……と言いながら、見比べていると「本当にニュートラルな、色の偏りがない明るいグレーってなんだっけ?」となるので、比較用に「ニュートラルグレー2」も手前に置いてあります。GSIクレオスの3種類は、同じ「明灰白色」という名前でも違って見えます。ツヤの違いもありますが、ラッカー系はひときわ青みを感じますね。そしてタミヤの「XF-12 明灰白色」は、ちょっと緑がかっています。

続いて「零戦はちょっと緑なのが良いんだよ派」のエントリーです。こちらは、灰色に緑が混ざった「灰緑色」を中心に集めました。薄い緑ならこちらも、と奥にはザク用のグリーンもエントリー。しかし、こちらは青みが強め。似ているけど、けっこう違うよね、という結果です。タミヤには「XF-76 灰緑色」と「XF-14 明灰緑色」があって、このちょっとの違いも面白いですね。ガイアノーツは、色みの主張が控えめなあっさり味。これもらしさかもしれません。さて、ここでもうひとつ気になったのが……。

……濃い緑!? GSIクレオスのラッカー系塗料「C56 明灰緑色」です。「明るい」「灰色」「緑」という名前から想像していたよりも、ずいぶん緑がしっかりしています。こんな意外な色があるとは思いませんでした。零戦用という枠を離れて、緑のバリエーションとして覚えておくのもよさそう。少し明るめの濃緑色が欲しいときにも使えそうです。

ついでなので、操縦席であるコクピット内の色も見ておきましょう。GSIクレオスのラッカー系塗料「C126 コクピット色(三菱系)」がおなじみの色。一方、タミヤの「XF-71 コクピット色」はまろやかな緑で、大きなサイズの模型なら、これくらい明るい色も似合いそうです。そしてせっかくなので、『装甲騎兵ボトムズ』の機体を塗るための水性塗料「HV01 ATグリーン」もエントリー。これは私が独断と偏見で選ぶ、水性ホビーカラーのコクピット色です。塗ってみると、ふたつの専用色の中間くらいの色合いになります。さらにザク用の濃いグリーンも置いてみましたが、これもまた検討の余地がありそうです。

写真の状態、撮影時の天候、塗料のコンディション……。実機の色を調べようとしても、さまざまな条件によって色の見え方は変わります。塗料メーカーの方々も、多くの資料にあたり、当時の塗料の組成や、残された塗料のかけらまで手がかりにして色を開発しています。そのうえで、我々が模型を塗るときには、実機の資料に見られる色を目指すのか、模型として眺めたときの見栄えを大切にするのか、という選択もあります。どんな零戦に仕上げたいかで、手に取る塗料も変わるわけです。

まあ、そんなに構えなくてもいいんです。このファインモールドの零戦にタミヤの水性アクリル「XF-12 明灰白色」を使ったのは、外が暑くて、換気する時間をあまり長くしたくなかった、という事情もあってのこと。そういうときもあるんです。もちろん、塗装中に必要な換気はしっかりと。パーツの溝に暗い色を流す「スミ入れ」や、汚れを描き加える「汚し塗装」でも、色の印象はまた変わっていきます。塗料の色を出発点にして、最終的に自分が「好きだな」と思える色に仕上げていくのも、模型の楽しさですね。今回並べた明灰白色や灰緑色のなかから、みなさんも好みの色が見つかったら幸いです。