
なんとなく気に入っていた曲が実はカバーで、後から本家を聴いて「こっちがオリジナルだったのか」と驚くことがある。コンテンツには触れてきた順番があり、それによって抱く印象も変わる。私にとって、仮面ライダーWのファングジョーカーのプラモデルはまさにそういう体験だった。
人をかたどったプラモのはずなのに、組む感触はどこかロボットに近い。超人だからと言ってしまえばそれまでだが、人間を模したものといえば美少女プラモを作ることが多かった自分には、この感覚が妙に新鮮だった。

ガシッとした上半身や、腹筋部分のゴロッとした塊感のある関節パーツを人間のプラモデルで扱うとは思わなかった。さらに、Wならではの左右色違いの身体を、マスクや胴体といった部位ごとに右と左で別々に作っていく工程も独特だ。関節まわりにはスーツの機能から引用してきたのか、素材の伸縮性を感じさせるディテールの工夫が見られる。

機構としての関節をなるべく目立たせないようにする美少女プラモとは真逆で、関節そのものをデザインとして見せる方向性は人のようで人でない、変身した姿であるという設定とデザイン上の立て付けが噛み合っていると感じた。仮面ライダーWって人なのか?みたいなことも考え始め、変身後の姿をどう定義するのか悩むくらいには気に入った。

また、組み立ての順番が非常によく考えられていて、これには素直に感心してしまった。特撮のことがよくわからない私でも「あ、仮面ライダーだ」と分かる頭部を最初に作る。そして一番最後がベルトだ。
確かに仮面ライダーってベルトだよな、という納得感は、熱心な愛好家がテレビや動画で身につけて変身ポーズを取っているのを見た記憶から来ている。作る前の私は「仮面ライダーはマスク」と思っていたのに、一通りの組み立て体験を通して「そうそうベルトだ、ファンはみんな持っている!」と気付けるのが面白い。

よくよく考えると、手に入りにくいと何となく聞いていたのもベルトだ。先日、雨の秋葉原で出会った彼も「ベルトや差し込むUSBメモリ状のアイテムを入手するのが大変だった」と話していた。
特撮をよく知らない私でも、作り終わる頃には「そうか、ベルトこそが現実と空想をつなぐ重要アイテムなんだ」と実感できるし、そう思わせるくらい細かく作り込まれたパーツには、仮面ライダーの肝を感じさせるに十分な魅力があった。