なんとなくプラモデルを買おうと売り場を見まわした時に「そのキャラクターを知っている」というのは強烈なフックだ。目に飛び込んできた瞬間に「お、知ってるヤツだ!プラモデルになっていたのか!」ってなるし、そもそもプラモデル好きとしてはアニメ化や映画化と同じように「プラモデル化!」自体を喜べてしまうので「じゃあお祝いに買わなきゃな!」ってなるのだ(なるんだよ)。
そんな書き出しなのだから、今回買った『仮面ライダーBlack』も熱く語れちゃうくらいに「知って」いるのかというとそんなことはない。幼稚園児の頃にTVで見たっきり、あらすじはおろか結末も覚えていない。主題歌と乗ってるバイクを覚えている程度。そういうくらいの解像度で「好き」なキャラクターだ。
仮面ライダーBlackって名前の通りメインは黒色だってのは覚えている。箱画を見て要所に赤と黄色のラインが入ってるのも思い出したからランナーの色配分に対してすら既に仮面ライダーBlackを感じる。黒い部品にまぎれる赤と黄色のランナーが「あの細い線、塗らなくても再現してるぜ!」って力強く語りかけてくる。さすが仮面ライダーBlack、頼もしいぜ……
そんな頼もしい「いろプラ仕様」で美しいラインが組み立てるだけで爆誕!と、思ったら説明書にシールを貼る指示を見つける。なんだって?これ以上いったい何色のシールを貼るっていうんだい?
仮面ライダーBlackの各所に入るラインは赤ラインを挟むように黄色が入った3本1組。しかも赤と黄色が隙間を空けて平行に走る。そうだった……。赤と黄色は隣り合わない繊細なデザインだったのを思い出す。それをこのサイズで再現するために赤と黄色の間に入る地色の黒のほうをシールにして貼るというコペルニクス的転回。しかも、この黒ラインのシールを貼る箇所は一段凹んだ段差になっているので剥がれにくい。
そして一段凹んだ彫刻になっているってことは極細マジックで簡単に塗れるってことでもある。自分は結局貼った分も剥がしてシールの黒は全部塗ってしまった。特に手首の袖口は包み込むようにシールを貼る方が面倒なくらいなので迷わず塗っちゃうのがオススメだね。凹んだ箇所だからマジック塗りでも剥がれにくい。これなら安心してポーズをとらせられるしね。
組み立て始めてみたら「イロプラすげw」から「シール貼るの?色足りないとこある?」と自分の記憶が届かないところに気付かされて「この黒、マジック塗りで済むじゃん……楽ちんじゃん……」というトコに落ちる。その過程でどんな色がどんな順番にどんな並び方をしていただとかキャラクターに対する解像度が上がっていく。昔見ていたキャラクターなので解像度が上がるというより記憶を取り戻していくという感覚の方が近い。コレは記憶の依り代としてのプラモデルだな。作るだけで映像を見返したわけでもないのに色々思い出してくる。
「そういえばあの頃は色んなアイテムにブラックエディションがあったよな……もしかしたら仮面ライダーBlackってそんな流れの最先端だったのかもな……」ってね。