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【レビュー】巨大すぎるプラモの育て方/イタレリ1:72 XB-70ヴァルキリー

 幻の超音速爆撃機XB-70ヴァルキリー。『宮武一貴のアド・インエクスプロラータ 明後日の空へ』の記事が、その美しさにとり憑かれたような筆致だったものだから、そんなに?と思って別の写真集も買ってみる。ああ、鋼鉄のシルクをなびかせた怪異みたいな飛行機だな。それでもまだピンと来なかったので、今度は模型で確かめてみたくなり、イタレリの1/72モデルを作った。ハンパじゃない。美しい……が、その前にデカすぎる。なんだこれは。組み上げてみると、ほとんどギターだ。フライングVだ。UFOだ。歓喜と畏怖。こんなに巨大な兵器をこさえ、そしてプラモデルをこさえた人類の業のデカさに、心の弦が震えた。

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 箱を開けると、パーツの大きさに錯乱してジャズベと記念撮影してしまう。上下分割の主翼が、箱の中でナナメになってギチギチに収められていたのだ。これが完成するとまず箱には収まらなくなる。プラモデルって模型を圧縮した拡張子みたいなものだなと思ったりする。はやく解凍したい。

 三角に尖った機首から後ろにかけてぷっくりと円筒状に伸びた胴体パーツの長さよ。旬の秋刀魚か?パーツを貼るたび大きくなるプラモ、そして高揚感。しかしそれとは裏腹に、部屋に置けるのかどんどん心配になってくる。

 組み立ては大変です。パーツの歪みや成形不良が散見され、様々な箇所でパーツ同士が干渉。スキマが発生。そのままではキレイに組み立てることさえ難しい。しかし、難曲のコピーに挑戦するように、かえって闘志が湧いてくるのだった。

 最初は意気揚々と金ヤスリでゴリゴリ削っていたのだけれど、ダメ。まるでラチがあかない。外に出て、たまたま仕事の道具で持ち合わせていたマキタのマルチツールでギャンギャン削ります。超速い。

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 スキマ埋めはタミヤ光硬化パテを盛り、ハイキューパーツのデカールスキージーで曲面に沿って拭っていくことに。ほどよい硬さのスポンジが形状に追従してくれるので便利。

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 パテを盛って、ヤスリで削る。それを繰り返して、なんとかスキマと段差が埋まる。繊細な凸モールドは消えてしまったのだけれど、XB-70はマッハ3の飛行で機体表面がボロボロになるということなので、勘弁してくれ。

 どうする塗装。ブースには収まらない。塗装クリップで保持できるほど軽くない。そこで開発したのがこの「塗れ太郎マーク2」。針金ハンガーを切って折り曲げ、ランディングギアの穴に差し込む。これが持ち手にもなるしスタンドにもなってくれる。

 また外に出る。ガレージに約2畳の段ボールを敷き詰め、サーフェイサーを丸1缶吹き付け。虫が!サフを吹いたときに虫が巻き込まれてしまった。対策として、本塗装の際は蚊取り線香を焚きながら作業することに。効果のほどは謎だが、虫を巻き込まずに塗装できた。

 部分塗装とデカールを貼り終えて完成!ほとんどDIYじみた工作活動は大変さを通り越しすぎて逆に楽しくなってしまった。完璧な整形とは言い難いのだけれど、いやぁ、幾何学的で凛としたフォルムは美しい。

 しかし、ひとつ問題が。さてどうしようの連続で、その都度アイデアを出しながら手間暇かけて完成させたものだから、どこまでが美しさなのか、どこまでが愛着なのか、わからなくなってしまった。しかしながら、時代に埋もれてしまったこの巨大怪奇飛行機は、何の因果か模型となってこうして手元にあるわけで、花に水をやったらちゃんと育ってくれたわけで、どちらにしろ美しいなと思うしかなかったのだ。

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ハイパーアジアのプロフィール

ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。

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