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【レビュー】一瞬がスロー。ピットロード 1:700「WWII ドイツ空軍機2」の中にあるJu52を作る

 「これはいったい、どう楽しむべきものだろうか。」
 手元にある箱を眺めながら、自問自答する。手に入れた瞬間の高揚感は、部屋に持ち帰って数日が経つと、静かな戸惑いへと変わっていた。箱を開けて中を覗いても、すぐに心が沸き立つわけではない。……しかし、本当にそれだけだろうか。

 おそらく私は、これを「すぐに形になる、比較的軽めな作り心地のプラモデル」として受け取っていたのだ。ところが実際に箱を開けてみれば、極小のパーツが放つ細かさに圧倒され、少しだけ難しく感じた。その少しのズレが腰を重くさせるのだが、それにしても、これほど小さく愛らしいキットもなかなかない。様々な飛行機が詰め合わせになったピットロード 1/700「WWII ドイツ空軍機2」のことだ。

 小ささに惹かれる。それは確かな事実だ。そこで腰が重くなる理由を掘り下げてみると、自分が作っているイメージが全く湧いていないことに気づく。ニッパーで切り出し、貼り合わせるという、手が動いている実感が浮かばないのだ。だが、そこまで考えが至れば、「だからこそ」という新しい扉の存在が見えてくる。だから、いざ手を動かしてみると、これが驚くほど面白い。工程は短いはずなのに、流れる時間はどこまでもスローなのだ。一瞬一瞬が長く、そして一瞬と一瞬の間が遠い。この独特な時間の使い方が、たまらなく心地よい。
 現代のプラモデルの多くは、パーツ分割や精度を突き詰め、効率よく形にする「速さ」という答えを提示してくれる。流し込み接着剤や切れ味の良いニッパーなどの工具すらも、その流れの最中にいる。しかし、このキットはそうした現代的な発想とは異なる価値観を見せてくれるのだ。わずかな接着点に部品を貼り付けたら、乾くまでしばらく置き、また次の部品を貼る。そんな風にどのパーツもしっかり止めないと、無くしそうだ。模型製作における原点ともいえる所作に自ずと立ち返らざるを得ない。

 ピンセットで極小のプロペラを摘めば、工具の噛み合わせがわずかに甘くなっていることに気づかされ、直そうと思う。爪養枝で1ミリに満たない場所へ接着剤を塗れば、一本ごとの個体差にさえ意識が向く。今のプラモ事情から少し離れた場所にある、地道な作業の積み重ね。ストイックに、より求道的になりそうなところで、ふと完成が訪れる。

 三つのプロペラ、垂直尾翼、左右の主脚。Ju52に対して行う細かな作業は、わずか五回。積み重ねが「スパッ」と鮮やかに終わる潔い幕引きこそ、この上ない快感だと思った。もしこれが延々と続いていたなら、どこかで集中が途切れ、失敗してしまっていたかもしれない。
 健康診断の視力検査機を覗き込み、「わ、わからない……」と目を凝らすような極小のデカールたちも、同じように豊かな時間を見せてくれるだろう。これらを仕上げてミニチュア用のベースに据え、裏面に磁石を仕込んで、マグネットとして手元に置こうと思っている。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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