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塗りの質感、組み立ての質感/精緻さから少し離れてハセガワの1:72 F-4E ファントムIIを塗る

 たて、よこ、ななめに筆目を重ねていく。これは僕がプラモデルを始めたころ、最初に教わった筆塗りのやり方だが、いまはあまり聞かなくなったかもしれない。高性能な水性塗料の台頭がそれに取って代わっているのが実情だが、それ以上に、筆目が生み出すムラや質感を再評価する向きが高まったのだと思う。なにより、そうした表現を目にする機会が増えた。実物を忠実になぞるのとは異なる、表現の余地や深さが面白いのだ。

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 そんな「固有の良さ」を見直してみると、プラモデルを作る上で話題にのぼる合わせ目のことが気になってくる。実物とプラモデルの決定的な違いといってもいいポイントではあるが、一方でプラモデルらしさの象徴のような気がする。
 ハセガワのファントムは真っ二つに割れたボディが特徴で、これは昔のプラモデルといった感じ。今のプラモデルと違って合わせ目が目立たないようにパーツ分割をやたら凝るというようなこともない。それをそのまま残すことは、このプラモデルならではの様子を生かしているともいえる。
 その割には翼を塗れば膨らんでいるところを視認することは容易く、ボディの曲面は「ここを明るめに塗ると良さそうだ」という明確なサインとして存在している。塗り甲斐があるプラモデルであることは間違いない。

 合わせ目を消さずに筆を走らせれば、そこには塗料が溜まり、あるいは引っかかるというのが実際のところだ。無数のタッチや指定にない色で作られた塗面の下に隠れる合わせ目は、質感の違いとして表面の豊かさに大きく寄与する土台として機能し始める。なんなら、接着剤がはみ出して荒れた箇所ですら、重なり合った筆のタッチの中では、一つの風合いとしてその役割を果たすように思える。

塗装のムラやタッチ、テクスチャーを愛でる方向性は、本物がそのまま小さくなったような精緻さとは少し離れた表現だ。しかし、それもプラモデルならではの面白さであり、人がわざわざ手をかけて作り進めるからこその醍醐味に思える。組み立ても同様に、一度「実物」から離れて「プラモデルっぽさ」を考えてみることを試みたがそれはそれで豊かで見どころのある良さがあって、とても楽しかった。

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クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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