
ハセガワの飛行機のプラモデルを仕事帰りに買おうと思えることに、ささやかな幸せを感じる。昨今、模型の箱が大型化する中で、仕事用のカバンに収まるサイズ感は貴重だ。価格も1,000円を切るものがあり、忙しくて昼食を摂れなかった日のランチ代を充てるにはちょうどいい。
とくに1/72スケールのシリーズは箱のサイズが小さく、パッケージデザインも箱そのものの白さと空を背景ボックスアートが多いせいか非常に爽やかだ。清潔感に溢れた飛行機の絵は「これに乗って空を飛びたい」とか「格好いい」という言葉では片付けられない美しさがある。絵に惹かれてプラモデルを買うという行為はイメージに魅せられて商品を買っているようで理屈でない面白さがある。

今回 1/72 F-4E ファントムIIを買うに至った決定的な理由はサイズ感に惹かれたからだ。箱のバーコード付近に記された仕上がり寸法を確認し、手を広げて見たり、スマホのサイズと比較したりしながら収まりを想像する。完成してもいないし、実機のこともわからない中で具現化していくこのステップは絵のイメージを手のひらに乗せようと試行錯誤している感じがあって好きな時間だ。
その後、実機のフォルムを調べてみると、どこか肉厚な胴体が興味深く、ジェット機はどれもこれもがシャープなボディに大きな翼というわけではないことがよくわかった。そういった風貌の奥に隠れた設計思想や当時の時代背景に思いがあるのではないかと想像すると、あとで調べる楽しみも増えていく。

製作工程において特筆すべきは、パーツ数の少なさだ。短時間で組み上がる構成だが、車輪周辺などの細部にはピンセットが欠かせない。大まかな形状を作り上げてから、要所で精密な作業に移るという工程の推移は、自身の集中力の高まりと見事に合致している。
完成品を眺めるのはもちろんだが、形状の理由や開発背景を紐解く時間も面白い。目の前のファントムを手に取りながら資料と照らし合わせていると、製作過程で生じたパーツの隙間や合わせ目といった些細なことは、不思議と気にならなくなる。

翼の形状に関しての言及に触れてみれば「もっと変わった翼のものを」と興味関心が広がっていく。開発した企業名がわかると急に「次は同じ企業のものを……」と思い始める。というか、改めて箱を見るとボーイングのロゴがしっかりと入っているではないか。次からはチェックするところが増えた。こんなふうに一定の気づきが溜まると「今日はハセガワの飛行機を買って帰ろう」なんて思える日が来るはずだ。