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【レビュー】ボークスのホルダ17 ディー・カイゼリン /GTMが1:100スケールで流麗にプラスチックキット化!

■本記事はボークスより商品の提供を受けて作成しています(PR)

 パーツでも魅せてくれるVSMS(ボークススーパーモデリングシリーズ)の「ドナウ帝国皇帝騎・ホルダ17型GTM“ディー・カイゼリン」を、組み立てながらその部位ごとに追いかけていきたいと思います。

 前編でご覧いただいた通り、かなりのパーツ数を費やしていると思わせながらも、しっかりとその必要性を感じさせてくれる構成になっています。ダブルのクリアーパーツ、ガンメタルとホワイトの装甲・フレームが折り重なりながら実体化した1/100のカイゼリン。GTMを象徴する旗騎の風格はメタ的な意味でも各部位からも溢れています。
 ツインスイング・オートドライブの再現度もさすがのボークス。’80年代以降のメカデザインにおいて、現在に続く日本的なスタイルのルーツに大きな足跡を残した永野先生だからこそ、その対極として考案された関節機構。劇場作品『花の詩女 ゴティックメード』で映像化された際には、より大きな衝撃をもって迎えられました。そんなエピソードを立体として、腕部だけでも思い出させてくれるエピックなキットです。

 クリアーの外装とフレーム、透明感も感じられる白の成型色によるコントラストを直に目撃できるのは、このキットを手に取った人々に与えられる特権です。モーターヘッドの時代に永野メカで確立されたと言っても過言ではない、部位ごとだけでもオブジェクトとして成立するフォルムとディテールを立体で堪能できる唯一無二のプロダクトだと思います。もちろん、ABSOMECの半完成品がそうではないという意味ではありません。それでもユーザーがより手にしやすく、GTMの構造に直接触れ、組み立てながら追体験できるVSMSに大きな意義を感じる方も多いのではないでしょうか。

 前編で言及した凹モールドだけではない凸モールドが組み合わさった脚部がこちらです。エングレービングを極力一体で表現したいというこだわりから、スライド金型によってワンパーツにまとめられたパーツをスイング関節で接続していくスタイルはボークスがモーターヘッドから培ってきた思想を強く感じさせます。

 クリアーパーツにスモークブラックを合わせる外装が多いですが、脚部ではさらにハイブリッド、否、三層にわたる構成の妙を見ることができます。高いヒールのスモークブラックとクリアーの外装でホワイトを内包するスタイルは、他に類を見ないことは言うまでもないのですが、これが立体として実現されていることは、見所の多い本キットの中にあってもより注目したいポイントです。

 外装を組み合わせた腰部。連載再開と同時に確立されたファティマ=オートマチック・フラワーズという設定を、GTMのフォルムとしても表現したカイゼリン。こうした裏側にもそういった要素を見ることができます。360°方向性を問わず見ることができる立体ならではの体験と言えるでしょう。

 クリアーパーツにスモークブラックを重ね合わせることで表現される透明装甲。上半身を組み立てた際に出現するトルソーのフォルム、シルエットは必見です。この状態でキープしてもいいぐらいと思わせてくれる完成度です。

 各部位が組み上がっていく段階では、「本当に全高300mmクラスになるのか?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、各部位を上半身のトルソーに組み合わせると一変します。『花の詩女 ゴティックメード』のメインビジュアルの完全再現を目指したボークス。傑作と言われたABSOMECをそのままプラスチックモデル化したのではなく、そのための大幅なプロポーション調整を行って1/100の中での再現にこだわった、まさに結実の結晶が立っているのです。細身と思わせながらマッシブな印象の絶妙なバランス。前編でも言及した手のサイズ感、そして脚部とツインスイングの関節が織りなした立ち姿の迫力は写真からも伝わってきますが、実物はそれ以上です。


 永野メカの現在形とその始まりを、それぞれの指先で感じられるVSMSシリーズ。ダッカス、破烈の人形といったGTMラインと並べるのはもちろんですが、個人的にはIMSで同スケールのモーターヘッドと並べてその変遷を味わいたいところです。


 ひとりのクリエイターが、その人生においてこれだけの変性と通底する造形言語を表明・実行したことがあったでしょうか。それが同スケールの立体として触れ、体感できるのです。衝撃的映像化から10数年。昨今の本編展開に目を見張った方々で溢れるこの頃だと思います。そんなタイミングで登場した1/100カイゼリンの流麗な姿は、VSMSとしてどのようにこの壮大なお伽話を今後も率いていくのか、より目が離せません。みなさんもぜひ、ボークスのカイゼリンをその手でスイングさせながら連綿と続くジョーカー太陽星団の物語へと思いを馳せてください。

 

 

大森 記詩のプロフィール

大森 記詩

1990年生。彫刻家。美術大学在籍中から模型誌作例や作図などに携わる。現在は作家活動と並行しながら主に筆塗り作例を担当。合わせてミキシングビルド/キットバッシングによるSFメカニックを月刊ホビージャパンを中心に発表している。

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