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すべてのマイスターにクリア外装の福音を!/IMS 1:100 L.E.D.ミラージュV3(限定版)、インボックスレビュー。

 はじめに断言してしまいましょう。私は「このクリア外装こそが、L.E.D.ミラージュの設定に真に迫るひとつの解だ」と感じました。ボークスのIMS 1/100 L.E.D.ミラージュV3(限定版)です。
 いまから10年前、ボークスによるモーターヘッド造形の集大成として発売された1/100のL.E.D.ミラージュ(インフェルノナパーム)は、星団最強のMHに最強の装備をセットした名実ともにフラッグシップモデルとしていまも君臨し続けています。ビジネスホテルの冷蔵庫くらいあるパッケージにはじつに800以上のパーツが詰め込まれており、完成すれば全高281mm、全幅265mm、全長780mmという威容を誇ります。

ボークス IMS 1/100 L.E.D.ミラージュV3(限定版)


 価格、サイズ、パーツ数ともにボークスのインジェクションキットのなかでも最大規模のキットは、その後「IMS 1/100 L.E.D.ミラージュ V3 単騎仕様」(スパイドを装備した状態)、「IMS 1/100 L.E.D.ミラージュV3 =デルタ・ベルン 3007=」(ダブルベイルにランスを装備した式典仕様)、「IMS 1/100 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様」(ベイルとスパイドを装備したコミックス冒頭をイメージさせる仕様)と姿を変え、ユーザーのニーズに応えてきました。
 とはいえ、やはり巨大な背負いモノと長大なランチャーを装備したインフェルノナパーム装備は「MHの模型を作るならいつかはチャレンジしたいひとつの到達点」であることに変わりはありません。

 シルバー、ガンメタリック、グレー、バイオレットの4色で構成されたパーツたちは組み上げるだけで全身のフレーム構造を再現できるよう設計されており、 従来のボークス製1/100 L.E.D.ミラージュはその上から半透明の装甲パーツを取り付けるという構成でした。
 「モーターヘッドにおける装甲表現の歴史」をここで云々するつもりはありませんが、とにかくMH(およびGTM)の装甲というのはここ四半世紀あまりに渡って「よく見ると透けている」ということが設定として語られ、ファンの間でも共通認識となっています。模型的にそれを表現するとなると、たとえば白く描かれていたMHならば、模型は半透明の白(=乳白色)を用いるのが常とされてきましたが、乳白色の装甲にはふたつの課題が残されることになります。ひとつは「内部のフレームや装甲裏面の彫刻がハッキリと透けて見えるわけではなく、透過率のおかげでどうしてもボケて見えてしまう」ということ、もうひとつは「半透明の素材はくっきりとした陰影を持たないため、装甲表面のディテールや輪郭がいまひとつシャープに見えない」ということ。

 もちろん原作者である永野護氏もそのジレンマを意識し、イラストや模型としてどう表現するのかという視点でかなり幅のある見解をさまざまな媒体で述べてきました。アウトラインや彫刻をハッキリ見せたければソリッドな白に塗装して陰影を強調すればいいし、透けているということを主張したいのであれば完全にスケスケのクリアーな外装にすれば内部構造も明瞭に視認できる……(ただし、MHの「実物」は人知を超えた美しく不思議な装甲で覆われている)。
 完全にパッキパキの透明パーツで外装が成型されたL.E.D.ミラージュがインジェクションプラスチックキットとなって発売されるということはつまり、設定で語られる見たこともない幻影をどうにか「再現」するフェーズから、模型ならではの「表現」として形にできるようになったことを示しています。

 ただ乳白色のプラスチックを透明に置き換えただけなら、ここまで騒ぐことではないかもしれません。プラスチックモデルのパーツにはは表と裏があります。完成後も眺められる「外側」は美しく磨き上げられることが必須ですが、「内側」はより複雑な形状をしていて、さらに完成後は見えなくなる部分であるため磨かないのが普通です。しかし、内部フレームまで透き通って見えるクリアなパーツを得るためには、パーツの内側(=金型のコア側)を外側と同じようにツルツルに磨き上げる必要があります。

 IMS 1/100 L.E.D.ミラージュV3(限定版)では金型を改めて美しく磨き上げ、装甲パーツを完全に透明に仕上げてあります。ランナー状態でパーツを見ても、背景がバシッと透けているのがわかります。さらに、ディテールや装甲の端面に光が反射して、表裏に入れられた彫刻や輪郭がキリッとピントの合った状態で把握できます。
 不透明なパーツは、なにをやっても透明にはなりません。しかし、最初から透明であればそこにどんな表面処理をするか、どんな塗装をするかによって表現方法に無限の広がりを与えられます。どれくらいの透過率なのか、どれくらいの反射率なのか、はたまた違う色相にシフトさせるのか、ついに本当の意味でユーザーに委ねられたと言って良いでしょう。

 しかし!私はこのクリア外装をあえてそのまま味わうことをココロの底からオススメします。全身にわたる渾身のフレーム表現(これをさらに緻密に塗り分けたらもっと情報量は増えることでしょう!)を完成後も装甲越しに眺められ、クリア外装だからこそ味わえるハイコントラストなエッジの輝きによってアウトラインがシャープに感じられ、そして装甲の表裏に入れられた緻密な彫刻もボケることなく味わえる……。L.E.D.ミラージュというメカの魅力、ボークスが奮闘したインジェクションプラスチックキットの気迫。クリア外装をテッカテカのスッケスケのまま組み上げたときにこそ、その両方を余すことなく味わえるのではないかと私は思うのです。

 ハコからパーツを出してビニール袋をひとつひとつ丁寧に開けて写真を撮り、頭部を組み上げるだけでもこれくらいの思いがブワーッと溢れ出るボークスの「限定版インフェルノナパーム」。ここからさらに歩を進めることで、おそらくさらにたくさんの発見と驚きと、クリアだからこそ味わえる景色に出会うはずです。「いつかはインナパ」と思いつつも購入を躊躇していた貴方、そしてすでにマイスターとしてインナパをお持ちの貴方……。クリア外装の威力は、思ったよりもハンパないです。ぜひともこの機会に手に入れてください。そんじゃ、また。

※本商品はボークスGL/VS/VIP会員限定品であり、予約・購入時に会員資格が有効になっている必要があります。予約(12月4日(水)締切)で確実に入手したい人は早めの手続きを。詳細は下記URLをご確認ください!
https://www.volks.co.jp/cs/members/

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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