
発売から二年、遅ればせながら『アーマード・コア6』を年末のSteamのセールで買ってプレイしました。「アーマード・コア」とは作中の戦闘ロボットの総称で、そのデザインラインは人型を基本としつつときに鋭角的に、ときに攻撃的に仕上げられ、スタイリッシュさと記号的なキャラクター性を排した無機質さが同居する兵器然とした格好よさが魅力です。
しかしその中に明らかに異質な、黄色いゴリラのような機体が一機混じっていました。ゴリラでないならマスクをかぶりチェーンソーを持ったホラー映画の殺人鬼、それが今回紹介するミルクトゥースです。

溶接マスクを被ったような顔、クランプしかない手、安全靴のような厚底ブーツ、右手には銃ではなく火炎放射器、左手にはチェーンソー。洗練されてない、という言葉だけでは片付けられないそのフリークス的なシルエットにどうしてか心打たれ、普段キャラクターモデルを作らない私も早速ゲットしてきました。

キットを開けると30分を作業の単位とする30MMシリーズってこういうのだったっけ……?とシリーズのコンセプトをバンダイに問いたくなるようなパーツ数に圧倒されます。

しかし実際の建設機械を思わせるルーバーやリベット、リブのモールドの繊細さに息を呑んだり、どこかスチームパンクのメカを思わせる湾曲したユニットで構成される膝を曲げたり伸ばしたりしてシルエットの変化を楽しみながら組み立てます。

細かいユニットを組み合わせる本体から一転、武装は大ぶりなパーツでバチバチ組み上がっていきリズムがスローから30MMのコンセプトのクイックに変化するのを感じます。おや、チェーンソーには零戦をはじめとしたレシプロ戦闘機でおなじみの空冷星型エンジンっぽいユニットが付きますね。見慣れた形状に思わず心が踊ります。

そして組み立てた黄色い溶接マスクゴリラを眺めながらその存在感、どこかで感じたことがあるなと気づき始めます。それはエイリアン2のパワーローダー、あるいはマトリックスのAPU、アバターのAMPスーツといったSF洋画の中に出てくるメカの存在感。

鋲接した鉄板を油圧シリンダで動かす建設機械のアナロジーとしてのディテール、簡素化された手指で異星人を殴打する文字通りの鉄拳、ドスン!と地面を鳴らしながら歩くブーツの重々しさ。

そうやって演出されたSF洋画のメカはお世辞にもスタイリッシュとは言えないもののその力強い活躍とディテールがもたらすソリッドな存在感は強く記憶に刻まれ、惑星ルビコンで出会ったミルクトゥースにその印象を見出し、こころ打たれたのです。

SF的でもあればホラー的でもある。現実的でもあればどこかスチームパンク的でもある。他のものに見えるかもしれない。皆様もこのキットを手に、その体にモールドされたモチーフ探しをさあ楽しみましょう!