

Have nothing in your houses that you do not know to be useful or believe to be beautiful.
(役に立たないものと、美しいと思わないものは家においてはならない。)
これは「モダンデザインの父」とも呼ばれるウィリアム・モリスの言葉です。
いい言葉です。なにしろそこに値段の視点はない。飛び出していけ宇宙の彼方。……というわけで、金額はさておき買ってきましたプラモ向上委員会の塗装クリップMaster(12本入り)。「マスター」とは大きく出ましたね。僕が認めてるマスターはアジアかヨーダかアイドルだけですよ。お値段約3,000円で一本あたりだいたい250円。
ハイキューパーツの金属持ち手が大体1本80円でしたから、その3倍の価格ですね。赤く塗っておきましょうか。せっかくだから俺はこの赤の持ち手を選ぶぜ。さて、値段はひとまず横に実物をみていきましょう。

まず特徴的なのはクリップの形状。いわゆる今までの持ち手とは一線を画す形状。鉄板を折り曲げて作ってある今までのワニ口のクリップとは、かみ合わせの良さが根本的に違います。ピンセットと洗濯ばさみくらい違う。さらにかみ合わせ部分の内側には円柱状と球状の溝が切削されています。ジョイント部分やダボ部分、挟むところに合わせた部分を使えます。

さらにさらにかみ合わせた先は2mm、3mmの円柱状になっています。ダボやポリキャップなどいろんな穴に差し込んで挟まずに固定することができるわけです。めちゃくちゃ考えられとるな……。持ち手に洗濯ばさみにランナーの切れ端。今まで使い分けてたのは何だったんだ。

考えてみれば塗装クリップの持ち手の形に疑問を持つことはありませんでしたが、多分、初めて生まれたのは世の中にあるワニ口クリップを流用したことであると思います。塗装クリップMasterはそこを再発明することにした。つまり数少ない「模型塗装専用クリップ」であると言っていいのではないでしょうか。

そう思うとこの値段も安……安……安くはないけども。棒の部分も金属製、しかも鉄製でなくオールステンレス。クリップと棒が溶接されているのでくるっとクリップだけが回ったりすることもないわけで、そこも考えれば意外と安……安……いややっぱりちょっとひるむ価格ですけども。
専用工具が使いやすいというのはいまさら言うまでもありません。爪切りが片刃ニッパーになったり、ケガキ針がタガネになったりと、模型専用に開発された工具のすばらしさはたっぷり味わってきました。はじめてぬるっとランナーを切ったとき。はじめて細く深く綺麗なスジ彫りを入れたとき。その時と同じ感動を与えてくれる持ち手です。使いやすくて美しいもの。模型の家に置くものとしては適正価格である、と言って良いでしょう。