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子供が夢中になる「フリクション走行おもちゃ」の原理をタミヤのキットで理解したい!

 息子と遊ぶおもちゃを買いに行くと「頑丈でそれなりに大きくて走らせて楽しいもの」になり、いわゆるフリクション走行をするバスとか電車のおもちゃって、安価なのに本当によくできていることに驚かされます。プルバックカーのようにゼンマイ仕掛けで動力をチャージするのではなく、力を込めてグーッと押すとタイヤがしばらくガラガラと回り続けるアレ。ゆっくりと長く走行するのもいいし、手触りや動きに重み(でっかい慣性)が感じられるのもいい。あれなんなの?どういうしくみ?

 「フライホイール」とか「はずみ車」とかで検索していると、タミヤのはずみ車動力車工作セットというそのものズバリの模型に出会いました。タミヤの楽しい工作シリーズは組み立てて遊んで機械のしくみを体感できるアレなので、わたしもはずみ車ちょっとわかるパパになりたい。なんだかパーツがけっこう多いな!?

 フライホイールというものについて調べ物をすると、起こっていることは直感的に理解できてもこれを運動力学的にわかりやすく説明するのはかなり難しいことがわかります。言ってみれば「入力されるエネルギーを高速で回転する重たい円盤にチャージする」というのがキモです。なので、このキットにもダイキャストのような素材でできた重たい円盤が入っています。

 透明なABSの外装パーツに駆動系を組み込んでいく設計。このユニット単体も「はずみ車動力ユニット」として販売されているので、自分で好きな乗り物を工作してその心臓部にこれを直結すればどんなものもフリクション走行する玩具にできちゃいます。そんなに簡単じゃないけど創意工夫でなんとかしよう。

 ブルーのパーツは実際に走行を担うユニット。ちょっとおしゃれなクラブガンナーのパーツみたいでめちゃくちゃかっこいいです。組み立てに接着剤は使いませんが、けっこうな数のビスを締め付けるのでそれなりに持ち手の太いドライバーがあると便利です。

 で、私もそうとうプラモデルを作り慣れているはずですからこんな工作キットはマッハで完成するだろうと思っていました。しかし、実際の組み立てはけっこう大変です。多種多量のギアをグリスアップしながら適合するシャフトとともに正しいところに組み込み、これがバラバラにならないようにケースに収めながらけっこうなチカラでビス留めを繰り返します。小さなハトメやプラベアリングなど、ひとつでも組み込み忘れたら手順を逆戻り……。対象年齢10歳以上、ダテじゃないぜ。

 しかも機構そのものを組んでいるから途中でブンドドして遊ぶとかそういう暇もありません。右上のゴムタイヤの回転を二段歯車の組み合わせではずみ車に伝え、最終的にめちゃくちゃなスピードで回転させるというのが根本的な原理ですから、全部の歯車が噛み合って外装をパチっと閉じない限りその動作を確認することは叶いません。

 はずみ車動力ユニットから取り出された回転運動の一部は前輪のステアリング機構にも転用され、8の字走行するカムとジグザグ走行するカムのどちらかを選んで取り付ければ進行方向が自動的にウネウネ変化します。目盛りの刻まれた円盤も入っているので、これを自分で切削加工すれば右旋回、直進、左旋回をプログラムした走行パターンが楽しめます。だいぶハードコアですね。

 完成するとその重量体積ともにほとんどが「はずみ車を回すためのカタマリ」となった異様な三輪車が出現します。床に押し付けてギューッと前に押すと巷で売られているフリクション走行の玩具そのものの手触り。ゆっくりと転がしても幾重にも連なったギアは円盤を信じられないスピードで回転させ、この円盤が回り続けている限りタイヤもゆっくりと回り続けます。種も仕掛けもないけど、玩具の走行装置にフライホイールを使おうと考えた人はとてもクレバーだなと感じます。

 クルマのようなものを手で押す……というプリミティブな動作を、長持ちする運動に変換する。むき出しの回転体がたくさんあって1歳児に触らせるには少々危ない物体ではありますが、パパが子供の玩具の原理を理解しておくことってけっこう大事です。見た目の割にかなり歯ごたえのある工作キットなので、みなさんも「あの玩具の中身、こうなってたのか〜!」ということを知るためにぜひ組んでください。ちょっと大きなお子さんと一緒なら、なお面白いことでしょう。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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