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模型の世界首都、静岡で初開催された「プラモデルの世界の甲子園」を見た話。

 『全国プラモデル選手権大会 次世代模型フェスティバルin ホビーのまち静岡』を見学してきたら、だいぶ良かった。12月7日(土)~8日(日)にツインメッセ静岡にて「クリスマスフェスタ2024」と同時開催された本大会は、今年が第1回となる新しい試み。プラモデル作りをしている部活動とか同好会とか個人が学校を通して応募し、会場には顧問(あるいは担当することになった教員)に引率された生徒たちが集まり、作ったプラモデルをテーブルの上に並べていた。コロナ禍を経て、顔を突き合わせて仲間たちとひとつのことに打ち込めるようになった高校生たちにとっての晴れの舞台である。

 「模型がうまいかどうか」を審査するというのはだいぶ責任が伴うことだし、市やメーカーが主導する大会なら勝負のルールや判定基準が明確であるべき……と思っていた。会場には当然ながら模型専門誌に掲載されていてもおかしくないほどスキルフルな完成品もあれば、組み立てるだけで精一杯……という完成品も見受けられた。しかしそれ以上に私を驚かせたのは、作品の後ろで来場者を迎える高校生たちの声掛けだった。
 「こんにちは!」という元気な挨拶はもちろん、「プラモデル作ったことってありますか?」「僕はこういうプラモデルをこんなことを考えながら作りました」と、こちらから尋ねなくても積極的に話しかけてくるのに最初はドギマギしたけど、何人かと話をするうちにひとりひとりの個性を受け止められるようになってきた。なによりクリスマスフェスタの来場者はほとんどがプラモデル好きというよりも「ふと足を運んだファミリー層」なのだから、いわゆる模型作りを日常的にやっている人視点での出来/不出来を云々するようなコミュニケーションは求められていなかった。

 なるほどこんなプラモデルがあるのか、これを自分で組んで塗ったのか!という驚きの声が、幾人もの来場者から聞かれた。審査員(いわゆる著名なモデラーやメーカーの担当者たち)による採点と、一般来場者による投票で各賞の受賞者が決まる方式だが、土曜には各校の参加者によるプレゼンテーションが壇上で行なわれ、その内容も審査対象に含まれていたというのがとてもステキだと思った。
 自分がなぜそのキットを選んだのか。与えられたテーマをどう解釈したのか、そしてそれをどう実現したのか。まったくの門外漢に「プラモデルって面白いんですね」と思ってもらうには、ただひたすら精巧な完成品を研ぎ澄ますように仕上げてボンと机の上に置くだけじゃ足りないのだ。

 授賞式では受賞高校の名前が発表されるだけで、どんな作品がなぜ受賞に至ったのかが写真や言葉で補われることがなかったことが少々もったいないと感じたが、しかし受賞高校の名前が読み上げられるたびにテーブルから喝采と拍手が聞こえるのは素直に心を打つものがある。自作を持って他校のテーブルに出向いて意見交換やプラモデル同士を並べた撮影会をしている生徒たちが「お互い頑張りましょう!」とガッチリ握手しているのはまさしく部活動的で、自己研鑽や交流を学校行事として認可する上で、「選手権」と銘打った大会の存在が必要とされている……という大会スタッフの説明が深く納得できた。

 本大会の開催目的として「模型を通じて高校生の社会で活躍するための総合的な人間力を高める/全国大会の開催を通じて『模型の世界首都・静岡』の求心力を高める/「ホビーのまち静岡」推進事業の核となる『模型』を活用した全国大会を通じて、静岡市がホビーのまちとして定着するとともに、地域産業の発展に努める」とあるが、あくまで主役は高校生だ。
 彼らの輝かしい学生生活のなかで、プラモデルに打ち込む仲間といっしょに年に一度の締め切りめがけて活動するきっかけを見出し、締め切りという節目(プラモデルを完成させるうえでもっとも重要な動機のひとつだ)を設ける……という目的において、この大会は来年以降さらに存在感を増すに違いない。

 受賞作品の写真だけを見ても、結局のところどれもちゃんとプラモデルとして完成しているし、そこに誰もが明瞭に判断できる優劣を見出すことはできない、と私は思う。ではなぜ大会が開催され、参加者はなにを目当てに参加し、審査員や来場者たちはどんな考え方で審査をしているのか……というのは、(確かに大会側のより精力的な広報宣伝活動も必要だとは思うが)会場を訪れて実際に体感するに越したことはない。より多くの高校が参加し、レギュレーションも今年のフィードバックを受けて洗練されたものになるであろう来年大会には、みなさんもぜひ訪れてもらいたい。そうそう、大会のおかげで「1/24のランチア ストラトス、なんやかんや言って一度は作ってみたいなぁ」と思えるようになったことも付け加えておく。

旬報社
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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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