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タミヤに今、再販して欲しいプラモデル/富士モータースポーツミュージアムで輝く日産R381

 この「エアロスタビライザー」という巨大な分割ウイングの片側がガーッと立ち上がり、コーナリング中に浮き上がってしまう内側の駆動輪をダウンフォースでグッと押さえつけ、V8アメリカンパワーを路面に殴りつけての鬼加速。ブレーキ時は両翼とも立ち上がって鬼制動。このクリティカルな新機構で1968年の国内レースを無双したゆえに速攻でレギュレーション変更で禁じ手になるとか、もはや漫画やアニメの世界の話みたい。その衝撃マシンを翌年にはタミヤがキット化したうえ、エアロスタビライザーの作動すらも再現していたのに驚愕させられます。

 「富士モータースポーツミュージアム」の芸術的なパネルで紹介されている日産R381の写真からは、コーナリング時のエアロスタビライザーの作動が見て取れます。館内のキュレーターの話では「コーナリング時のロールによる外輪側サスペンションの沈み込みに応じて油圧作動させている」とのことなので、キットのようにリンク機構での作動は模型的なアレンジ。他にも省略された部位も多い……のですがしかし! モータースポーツの歴史に刻まれた爪痕を目の当たりにした直後に「エアロスタビライザーをなんとしても動かしたかった」という1969年当時のタミヤの姿勢にはすこぶるライジングします。

 メッキパーツで豪華に仕上がるエンジンなどはまるでアメリカンカーモデル。実車は当時の都合でシボレーV8が搭載されており、それはかのMOONEYESの前身であるムーン社の北米レースチューンだったといいます。なのでアメリカンカーモデルの雰囲気をまとって見えるのもむべなるかな。模型的な省略と誇張があるなかで、譲れない部位としてシボレーV8の再現には注力されているのが伺えます。キットのあり方としてこういったディテールの緩急や変調は愉快で好感がもてる姿勢。傑作キットだとおもいますが、それが現在入手困難なのは惜しすぎるのではないかっ!

 1966年開業の富士スピードウェイ。そこへ2022年、隣接してホテル兼ミュージアムが開館されました。場所柄、モータースポーツの展示が中心となっており、特に‘60s〜’70sの国内レースシーンには力が入っていると感じます。1968年の日本グランプリは富士スピードウェイにて決勝レースが行われたこともあり、そこで無双したR381がシンボリックに展示されています。新たなミュージアムでR381が輝きを取り戻し鎮座するいま、抜群のフォルムとボリューム、そして驚愕のエアロスタビライザーを再現した本キットの再販を切に願う次第です。

 今回初訪問となった富士モータースポーツミュージアム。博物館における見せ方として相当な気合を感じました。そしてこのミュージアムの目玉は1F展示車両のキュレーターによる解説でしょう。その紳士的姿勢かつ工業人としての知識の深さにはグッと来ざる得ません。特に‘60s〜’70sの国内レースシーンについて語る静かな熱量には、初見であってもすっかり引き込まれてしまいます。「クルマを鍛え、進化させた、熱い歴史をたどる博物館」というスローガンを、まさに背負って立つ自動車工業紳士。

 施設内3Fのカフェでは富士スピードウェイのテクニカルセクション、そして最終コーナーからのホームストレートを一望できるテラスがあります。「うっわ。マジで贅沢すぎるのだが……」と悦に入ることができるので是非。モリゾウ、トヨタ、マジでパネェな… となります。次の機会にはホテルにも宿泊してみたいものです。ホテルにすらモータースポーツの、自動車工業の魅せ方が詰まっているとの予感があるので……。

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