

神奈川県川崎市にある模型メーカー「ピットロード」が展開する手のひらサイズの戦車模型「1/144 SGKシリーズ」は、工夫されたパーツ分割による少ないパーツ数とメリハリある味濃いめのディテールによって、小さくても満足感ある仕上がりを楽しめます。
そしてもう一つの特徴が、小さいからこそ「同一戦車のバリエーション」を気軽に楽しめることです。

こちら、どちらもアメリカ軍が誇る最強戦車「エイブラムス」です。エイブラムスは実戦の経験や最新技術のフィードバックによりアップデートが繰り返されている戦車。そのため見た目や装備が異なる車両が多く、現用戦車プラモの中でもとってもバリエーションの作り比べが楽します。でも、エイブラムスは実車のボリュームもなかなかなので、プラモになった時もその影響をしっかり受けます。だから、大きなプラモでサクッとバリエーションを楽しもうとするとちょっと大変。そんな時にこのようなミニサイズのプラモの存在感が際立ってくるんですね!

以前nippperでM1A2エイブラムスを紹介しました。今回はそのバリエーションキット「M1A2 SEP エイブラムス TUSK I」(以下TUSK I)を見ていきましょう(ひと箱で2両作れます)。上の写真が本キットのための新規ランナー。車体、砲塔上部まで細かな違いを表現するために、新規パーツに置き換えられています。手のひらサイズでも、こう言う細部へのこだわりがあるのがピットロード魂です。

TUSKってのは「Tank Urdan Survival Kit」の略。2000年代半ばに紛争地域での経験から生み出された、現地改修も可能な都市型戦闘用防御キットです。機銃、砲塔状のシールド、対地雷用増加装甲、側面に見られるリアクティブアーマーなどが追加されたため、見た目が大きく異なります。M1A2の段階でもかなり迫力があるのですが、フルアーマー化されたことでシルエットが大きく異なります(さらにTUSK IIってのもいて、Iがフルアーマーガンダムなら、IIはパーフェクトガンダムともいえるゴツさ)。

現代の市街地戦において、戦車の最大の敵は「人」であり、視界が限定される市街地での戦いは壮絶を極めますが、そこで生き残るための改修を施すと、これだけ見た目が大きく変わります。その違い、車両が通ってきた歴史も、小さい1/144スケールなら辿りやすいのです。

ピットロードのプラモデルは、固有のキャラクター性を感じられるパーツを結構目立たせています。別パーツにするだけでなく、彫刻もこってりめの味付け。このリアクティブアーマーの小さな丸ディテールもスケール感を凌駕したメリハリがあります。砲塔状の機銃から伸びる配線のモールドなんかもバキバキです。自ずと特徴が目に飛び込んでくるので、並べた時に違いがわかりやすいようになっています。

左がサイドスカートの上からさらにアーマーを装着したTUSK I。右がノーマルのM1A2(撮影台から落としてしまい機銃が曲がってしまいました……)。

車体の下にも増加装甲。地雷だけではないでしょう。さまざまな戦訓がこのアーマーにも現れているのです。指でつまめるくらいのプラモデルでも、これだけ違いを味わえるピットロードの1/144スケール戦車模型。組んだ数だけ、戦車模型の世界や見え方が広がる素敵なシリーズだと思います。小さいプラモを組んだ後に大きいプラモにもすんなりと行ける……そんな道も切り開いてくれるでしょう。それでは!