

タミヤがそのほとんどのパーツを新規設計したF-35Bを1/48スケールでリリース。なによりビビったのが、説明書の分厚さです。表裏の表紙を除いて全58ページ。真ん中がホッチキスで留めらてていて、持つとズシリと重い。そして本アイテムのスゴさは、「説明書の分厚さ」にこそ隠れているということを皆さんに知ってもらいたいのであります。
タミヤは昨年同スケールのF-35Aを発売していて、細部の表現から組み立ての確実性をどこまでも追求する姿に仰天。今度は米海兵隊を中心に運用されている「短距離離陸/垂直着陸型」のB型です。パーツのほとんどが新規設計となっており、短距離離陸と垂直着陸を実現するためのギミックを存分に楽しめる内容。ここまでは「いままでもF-35Bのプラモデルはいろんな会社からいっぱい発売されているし、そのどれもがF-35Bの特徴をちゃんと再現してたよ」という感じなのですが、タミヤはそこにひとつのコダワリを投げかけました。

コクピットや兵装庫を組み、機体の概形が見えてくる説明書を14ページまで読み進めると、次にやることが突然3つに分岐します。駐機状態は文字通り地面にいるときの姿。リフトファンのトビラは閉じていて、エンジンも真後ろを向いているので「F-35Bらしさ」は薄い状態と言えましょう。

29ページに飛んで、短距離離陸状態を選ぶとどうでしょう。機体上面のリフトファン用空気吸入口や補助エアインテークが開き、機体下面のウェポンベイはトビラが閉まった状態かつエンジンノズルが斜め下を向いたイラストが現れます。

43ページに飛んで、垂直着陸状態を選ぶと今度はリフトファンやロールポスト(主翼付け根の下面にある空気吹き出し口)を作動させ、エンジンノズルをほぼ真下に向けた状態のイラストが現れます。ここで大事なのが「揚力を増強するため兵装庫ドアの内側2枚のみを半開きにした状態」になっていること。じつは「あれもこれも全開でエンジンが下に折れ曲がっている状態」というのは現実の運用において存在しないんだぜ……というメッセージがここに込められているのです。

プラモデルで開閉選択式だといわゆる「フルハッチオープン」をやってしまいたくなりますが、F-35は地面にいるとき、飛び立とうとしているとき、着陸しようとしているときでそれぞれ決まったポジションがあるのだということ。それを「組みながら選択する」のではなく、「組む前に決める」という方針で誘導しているのが本作最大の特徴と言えましょう。

パーツのシャープネスや組み立ての確実性、塗装のしやすさなどは言うまでもない水準であることに間違いありません。もちろん、各モードの”正しい姿”よりも模型的な派手さを優先して「開くところは全部開いてるしエンジンがグリグリ動いているところを見せたいし武装もてんこ盛り」という組み方も可能です。プラモデルは「作った先にどんな姿を見たいか」というのを選ぶアソビでもあります。分厚い説明書を言ったり来たりしながらみなさんも大いに悩んでください。