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ダウンサイジングで際立つプラモデルの組み味/造形村の「ヨンパチ震電」に見る設計の妙!

 「ああ、同じコンセプトでもこんなに組み味が違うのか!」という驚きに満ちたプラモデルです。造形村が10年前に発売した1/48の震電は、同社のデビュー作である1/32震電の緻密さを備えながらもパーツ数を約半分に抑えた意欲作。なるほど、模型って「目指すもの」がひとつでも(単に大きさが違うというだけでなく)いろんなアプローチができるんだな、と改めて気付かされます。

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 2010年、1/32のビッグスケールと「内部構造ほぼ全部入り」というとんでもない震電を引っ提げて飛行機模型の世界に乗り込んできた造形村。同スケールの飛行機模型をいくつか新規開発していく過程で「実機構造の再現」と「確実に組めるパーツ構成」の両面に磨きをかけ、2013年に満を持して発売されたのが1/48スケールの震電です。同じモチーフを1/32から1/48にダウンスケールするのは簡単なようでいて、とても難しいこと。ただでさえ繊細な1/32震電のパーツを2/3に縮めたら、とても組みづらく強度も確保できない模型になってしまうでしょう。

 冒頭に書いたとおり、造形村は1/48の震電を設計するにあたりパーツ数を1/32モデルの半分程度に抑えています。ディテールをうまく省略しながらパーツを要所要所で一体化し、各パーツの位置がビシッと決まるように接着シロをきちんと確保。ときには強度確保のために巧みにデフォルメをかけながら機体外板のなかにメカニカルな内部構造が収まるよう設計しています。できあがっていく姿は1/32モデルにそっくりですが、組み立てる体験としては随分とスピーディーかつ着実なフィーリングなのに驚かされます。

 だいぶ感動したのが機首に収まる四挺の機銃。1/32モデルではマガジンやリンクシュート、下部に取り付けられるバネまですべて別パーツ化されていたのですが、本アイテムではこれが立体感を損なわない範囲で一体化されています。スケールごとに「いい塩梅の表現具合」があり、1/48ならばこれでもかなり見栄えがします。模型を作っていて楽しいのは、モチーフを小さくする過程でいかに省略しながら(=組みやすくなり、組み立て誤差が減る)なおかつ複雑な構造がそこにあるように見せるか……ということだと信じている自分にとっては1/32モデル以上の快感がありました。

 内部構造を組み上げてから主翼や胴体の外板を取り付けていくのも1/32モデルとほぼ同じコンセプトなのですが、取り付け精度は本アイテムのほうがやや良くなっています。とはいえ、胴体全部が左右にバカーンと割られている飛行機模型とは違い、外形をスムーズに仕上げるにはそれなりの調整が必要(これはパーツを増やす上で避けられないことだと思います)。せっかくの内部構造を見せたければ好みの場所の外板を取り付けずに完成後も中身を見られるように仕上げるのがワタクシ的なオススメ。

 前方に機銃、中央にコクピット、そして直後に燃料タンクと巨大なエンジンが鎮座する震電の特徴を余すことなく表現し、なおかつ機体全体のシルエットが楽しめるこの組み方は造形村のSWSシリーズならではのものと言えるでしょう。もちろんここまで組んでも筆の入る範囲内で塗装は楽しめますし、無塗装でも1/48というスケールのおかげで凝縮感あるディスプレイを堪能できます。

 世は空前の震電ブーム。市場在庫も少なくなっていた本アイテムを、造形村は2年ぶりに再生産します。1/32というフラッグシップ的なサイズよりも小さいながら、込められたメッセージはより濃厚に、パーツひとつひとつがより雄弁になった1/48震電をみなさんもぜひ手に入れて下さい。機体の構造を知りながら、徐々に現れるシルエットを自らの手指で追うことで、この飛行機のことがもっと好きになるはずです。

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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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