2023年の1月に家族を見送りました。15年も一緒にいたためそのショックは結構なもので、「うまく世話できてたかなぁ」「幸せに生きられたかなぁ」などと時々考えてしまいます。動物なので言葉も通じていたか分からないけど、一緒にいた時間は確かに幸せでした。
それでも時は過ぎるもので、2度の彼岸と初盆を経て、なんとなく気持ちも落ち着いてきました。お盆にはできなかったことを、今やっておこうかと思います。今回買ってきたのはSWEETという静岡の小スケールなプラモデルを多くラインアップするメーカーの「零戦21型 空母戦闘機隊」。次のお盆に「これが精霊馬だよ!」と飾っておいたら、馬や車なんか敵わないくらい早く帰ってこられるでしょう。生ものじゃないから腐る心配も無用!
コンパクトなサック箱に旧海軍風味を強く感じる若草色~ベージュの中間くらいの成形色のランナーが2枚。1枚で1機完成する、2機セットのパッケージです。風防はクリアパーツなので、ちまちま筆塗りして塗り分けたくなります。彫刻がみっちり入っていて、ちっちゃくても満足できるハイパワーな造形です。モールドははっきり見せたかったのでシタデルカラーのナルン・オイルでスミ入れしました
説明書に「流し込み接着剤を使用してください」と書いてあるとおり、タミヤの流し込み接着剤を使っているとスポーンと完成する簡単さ。機体や主翼といった主なパーツが一体化しているので、組み立ては休日の昼下がりに1時間もあれば終わります。お昼ご飯後の腹ごなしにひとつ、みたいな感じですね。
1/144スケールという小ささの中で、翼端を折りたたんだ状態にもできる! プロペラは回転する! タイヤが付いている足の造形も細かい……! しかもモールドもはっきり刻まれていて、こんなにちっちゃくてリッチな造形が1000円ちょっとで手に入っていいのか!? 精霊馬を作るという目的を忘れかけるくらい、ちっちゃくまとまったかわいいスケールのマシンに魅了されます。
などと考えていると、このプラモデルは「造形を作り込んで塗装は作り手に委ねる。組み立てただけで外観は完成してカッコいいけど、造形の中に塗装したくなる意匠やモールドを忍ばせておいた」という印象を受けました。小さなスケールで当時存在していた装甲の分割線や造形を表現しているので、簡単なスミ入れで済ませてオッケーそうな成形色や彫刻の細かさをしているし、風防の隅々まできっちり塗装してこだわってもいい。航空機らしくシルエットやパーツ自体の点数はすっきりしているので、組み立てた後から塗装するのも楽ちんです。そう言ったらきれいに塗りたくなってきたな!
彼女は飛行機に乗ることも遠出することもなかったので、彼岸から帰ってくるときくらいは空の綺麗な場所を飛んで帰ってきてほしいな。どれくらいの距離があるかも分からないから、燃料を積んだ増槽も付けておこう。
また彼岸に行くとき用には、大好きな鮭ときゅうりと、大根をたんまり積んでほしいから、輸送力のある車両……。景色も楽しんでほしいし、カーゴトラックなんかを作ろうかな? バキッと塗ってあったら、私が贈った精霊馬だって分かってくれるだろうか。そんなことを思いながら、少しだけ広くなってしまった部屋で生きていきます。