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スミ入れよりも銀塗装がハマるとき/飾ってクールなスペースコロニーのプラモデル。

 カラフルな色分け済みプラモデルもいいものですが、「何色にでも塗りやすい」という意味で白やグレーのプラスチックもこの世にはたくさんあります。ウェーブの「スペースセツルメント」も白いプラスチックパーツが入っていて、そのまま組むと白パーツと透明パーツのアンサンブルが奏でられます。ところでスペースコロニーって何色なんでしょうね。

 1970年代にRick Guidiceが描いたオニール・シリンダー(島3号型コロニー)の想像図です。絵がうまい。シリンダー外壁は白やグレーにも見えますが、冷静に考えると金属素材で作られた超巨大なコロニーの外壁をわざわざ塗料で塗る必要はないでしょう(重いし、宇宙空間でペンキを塗るのは大変だろうし、そもそもどうやって塗ればいいか皆目検討もつきません)。

 ISS(国際宇宙ステーション)の日本実験棟、「きぼう」です。外側はアルミニウム合金が剥き出し。空気がないからめちゃくちゃディテールがハッキリして見えます。プラモデルをリアルに見せようとするとどうしてもスミ入れとかウェザリング(汚し)をしたくなりますが、大気圏に再突入する物体でもない限り、宇宙でスミも汚れもへったくれもありません。よし、銀に塗りましょう。

 表面のディテールがどうしても機能というより「デザイン」に感じられるのは、あえてそうしているから……というのはこちらの記事を読んでもらうとして、シルバーに塗るとディテールがぐぐっと際立つのがわかります。スミ入れしなくても金属光沢のお陰で陰影がしっかり出るわけでございますよ。

 オニール・シリンダーの内部を描いた想像図です。3枚の窓と3枚の陸地が円筒状になっています。プラモデルでもこの構造が再現されています。陸地を表現するためにプラスチックパーツの内側にはシールが用意されています。窓のスキマから陸地が見えるのがとってもいいぞ。

 あとは農業/漁業用のモジュールにちまちまとクリアーカラーを塗って組み立てたり、円筒の前後に取り付けられる工業用プラントやドッキングゲートのモジュールを組み付ければ完成。やったことと言えば、白いパーツをシルバーに塗っただけですが、組み上がってみればそれはもう、とってもスペースコロニーじゃありませんか。

 宇宙にあるもの、巨大なものというのは日常生活から想像するのがとてもむずかしいものです。プラモの作り方、リアルさを付加する方法というのはいろんな手練手管がありますが、それは日常的に目にするものを手がかりにしたものがほとんど。非日常の未来は、やっぱりシルバーが似合います。さて、次はなにを銀色に塗ろうかな。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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