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プラモデルの中身より、ガワが気になる夜もある/KPモデルのSu-22M4

 プラモでも何でも、ブランドってとっても大事。「あのメーカーなら組みやすい設計だろう」「このメーカーの製品展開は推せる」……そんなふうに、私たちは自然とプラモメーカーの看板、つまりブランドも判断基準のひとつにしてプラモを選んでいます。だからこそ、メーカー側も自社のブランドを構築すべく展開した結果、模型屋さんの棚はメーカーごと色とりどりのボックスによってモザイクタイル模様が出来上がっているわけですね。

 さて、これはご存知KPモデルの1:72 Su-22M4フィッター。KPといえば、赤と黄色の目立つボックスで模型店の一角をびっしり占拠している、よく見るアレですよね。私も知っています。 きょうはKPのコレを……とレジに持ち込もうとしてふと気が付きました。あれっ、箱には「KP Models」なんて文言はないんですね。

▲ 下箱側面の「www.kovozavody.cz」が化粧品とかアパレルのパッケージみたいでイカす。

 そう、われわれはこの赤と黄色の箱のプラモメーカーを疑うことなく「KP」と呼び続けてきましたが、ボックスをまじまじと眺めてみればロゴマークは「KM」に見えるし、書かれているメーカー名はKovozávody Prostějov(コボザボディ・プロスチェヨフ?)です。この頭文字でKPなのでしょうか。そういえばよく似たラインナップでKoproというメーカーがありましたが、あれもKPだったんじゃないでしょうか。なんなんだKP。

 くらくらしながら模型誌(『スケールアヴィエーション』2021年11月号, p.39, 大日本絵画.)をめくっていると、「Kovozávody Prostějovは1968年創業の製造集団で、東側体制下のチェコスロバキアで会社として認可された……」という旨の記述が見つかりました。半世紀以上前から存在し、コプロであり、コボザボディ・プロスチェヨフでもあり、とにかく「KP」と呼べば通じるメーカー……。私たちはこれらの製品群をどのようにして一貫した「KP」と認識し、そう思い込み続けてきたのでしょう。集団幻覚を見ているような感覚といいましょうか、どこか神秘的な現象に思えてきます。いや実際KPで間違いないんですけど。

 メーカー名はどうあれ、いま目の前にあるのは間違いなく1機分のSu-22のキット。ガワの話はいったん置いといて、組み立てていきましょう。パーツの雰囲気はなかなか現代的でちょっと安心。プラはやわらかく、しっとりと刻まれたモールドが頼もしく感じられます。

 組立の目玉はSu-22の特徴たる可変翼機構。このキットではシンプルな構造を採用しながらも、とりあえず左右の外翼の後退角を連動させることに成功しています。
 そんなわけでニコニコ組み始めると、説明書の1工程目からパーツ番号の記載が間違っているようでちょっとびっくり。よくよく眺めてみれば、説明書では触れられていないパーツが存在するなど、結構大らかな雰囲気のキットみたいです。

 そうと分かると制作がガンガン進むから不思議なもの。適度な大らかさがある相手のほうが、大胆に攻め込んでいけるのかもしれません。このキット、細密さこそないものの組み味は非常に素直。おかげで要所がばっちり噛み合う、頑丈なプラモなのがうれしいポイントです。
 「Warsaw Pact」と題されたこのパッケージには、東ドイツ空軍やスロバキア空軍などちょっとめずらしいマーキングがセットされているのも魅力的。今回はKPモデルのふるさと、チェコ空軍を選択してみました。

 するっと完成。繊細すぎない大らかなキットゆえ、細かいことを気にしすぎずザザッとゴールまですべり込めました。先代機から続くトラディショナルな機体構成を極限までアップデートしたSu-22M4。その特異なフォルムを勢いのままに組み上げられる、週末にぴったりな一箱でありました。
 いいねえKP……なんて思っていたところ、新事実が。このSu-22はビレクという別メーカーからのOEM製品なんだそうです。プラモ界隈ではよくあることとはいえ、またしてもKPの幻を見せられていたような気分。もはやプラモそのものよりも、このぼんやりとしたKP概念のほうが気になってきました。残念ながら、私は現状これ以上のKP情報を見つけられていません。いずれKP博士になって帰ってきたいと思いますが、まずはみなさんもこの箱を見かけたら、KPが描こうとしているブランド像をちょっと想像してみるのも面白いかもしれません。

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