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驚異的密度を備えた「最強の幻像」、IMS 1/144 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様、テストショットレビュー!

 あなたが賢明な騎士ならば(あるいはミラージュ騎士団に仕えているのでなければ)、この「血の十字架」を見た瞬間にスタコラ逃げ出すことでしょう。ということで、言うまでもなく『ファイブスター物語』より星団最強のスーパーロボット、L.E.D.ミラージュがボークスより待望の1/144スケール(全高196mm)にてお披露目です。最初に言い切ってしまいましょう。こんなに濃厚なモーターヘッドの模型を組み立てられるのは、まぎれもなく「事件」でございます。

 同社のインジェクションプラスチックキットシリーズ(IMS)ではこれまでに、1/100スケールにてL.E.D.ミラージュV3が発売されています。インフェルノナパーム装備版、スパイドのみを装備した「単騎仕様」、そしてはダブルベイルやランスが特徴的な「=デルタ・ベルン 3007=」(こちらは現在予約受付中)といったバリエーションが展開されていますが、その魅力をギューッと1/144スケールに凝縮したのが今回のアイテム。V3ならではのデザインに準拠しながら、みんなが持っている「L.E.D.ミラージュといえばコレでしょ!」というイメージ……つまり、コミックス冒頭で鮮烈な印象を残した「ベイル装備」の姿を立体化しています。

 ランナー枚数はじつに30を超え、要所にスライド金型を使いながら緻密なディテールと組みやすさを堪能できるよう設計された本作。5色のプラスチックとポリパーツを使い分け、デカールと組み合わせることで無塗装でもほぼ設定に近い完成品が手に入ります。もちろん説明書には詳細な塗装指示が入っていますので、どこまで向き合うかはあなたが決めればOK。ただし、その内容は単なる「小さくて取っつきやすいキャラクターモデル」とは一線を画すものです。

 1/144スケールのL.E.D.ミラージュといえば、1999年にウェーブ社から発売されたプラモデルに親しんだ人も多いはずです。前世紀、モーターヘッドの造形物を手に入れたい人たちは、入手にちょっと勇気がいるレジンキットや歯ごたえのあるプラスチックモデルに挑むことが求められましたが、ウェーブ社のL.E.D.ミラージュは「手頃な価格と安定した流通/ほかのキャラクターモデルを作ったことがあればチャレンジできる設計/手頃なサイズ」の三拍子を揃え、モーターヘッド造形の”民主化”に大きく寄与したアイテムと言えるでしょう。

 時は流れて24年、ボークスがこの偉大すぎるモチーフに1/144スケールで挑んだ意義は、組み始めればたちどころに理解できるはずです。半透明装甲の内部にぎっちりと詰め込まれた内部フレームと、細分化されたパーツによるゴージャスなディテール。それらが縦横無尽に組み合わさる設計の濃厚さは、四半世紀近い年月にわたり、さまざまなプラスチックモデルの開発で培ってきたノウハウの結晶に他なりません。

 完成後にハッキリと視認できるかどうかはさておき、装甲が透けているという設定を持つ以上は内部構造も設定通りに造形する他ありません。さらにそこに可動ギミックを仕込み、時には装甲の両面にディテールを入れたり、表裏で組み合わせるような設計をする必要があります。ある程度体積のある1/100スケールモデルでもボークスが「IMS開発史上、最高難易度となった」と記述しているこのアイテムを、さらに小さい1/144スケールに落とし込むのは、(プラスチックの厚みや可動部の強度確保なども考えると)大変困難だったはずです。

 そんな開発過程に思いを馳せながら(説明書の手順とは異なりますが)まずは乳白色のパーツを使わずに組めるところだけ組み上げていき、ビビります。内部フレームの構造だけでロボットをひとつ完成させられるだけのパーツ数が費やされ、すべての面にそのままでも鑑賞できるだけのディテールが入っています。これに外装をくっつけていくわけですから、言ってみればロボットモデルを2回設計するようなものです。組んでいるこちらもなかなかの工程数に「さすが最強の幻像……」と唸ります。同時に、「いや、L.E.D.ミラージュならここまでやらないとダメだよね」という納得感もバリバリにあります。

 「両脚にめちゃくちゃ強いエンジンが入っている」という設定がめっちゃ大好きな私です。ヒールが直立した形態では等身が高くスラッとした印象になりますが、古参ファンが安心するヒール展開状態でややドッシリとした雰囲気にも組めるよう選択式になっているのが嬉しい……。スーパー・イレーザー・エンジンのガンメタ部はワンパーツですが、スライド金型で両サイドにディテールが入っていながらスリット部分がちゃんと抜けているのもイイですね。

▲画像は製作途中の状態です。

 前腕部を除き、全身がフレーム状態で自立するところまで組み上げられました。「ベイルと実剣装備」という形態からイメージされる当時の懐かしい仕上げに挑むもよし、新しい設定に合わせて用意された半透明装甲を活かして表面の質感にこだわるもよし。ファンのさまざまな思いと、モーターヘッド造形の分厚く重たい歴史とを受け止める強固な器として、このキットはみなさんの手で作られるのを待っています。

 次回は私なりの思いを込めながら、すべてのパーツが組み上がった状態でお届けしたい所存。まずは予約のほど、お忘れなきようよろしくお願いいたします。みなさんも、ぜひ!


■「IMS 1/144 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様
2023年5月13日(土)~ 7月2日(日) 全国のボークスショールーム、秋葉原ホビー天国2、ホビースクエア、ホビー天国オンラインストアにて予約受付(製品は7月発売予定)
※生産数に限りがあるため、ご予約が予定数に達した場合、期間中であっても予約終了となります。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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