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3日でここまでイケる「最強の幻像」、IMS 1/144 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様、ペイントレビュー!

 「わ、できちゃった!」からの思い出語り……。いまから四半世紀以上前、L.E.D.ミラージュってかっこいいなぁ……と思ったあの頃はプラモデル用の工具や塗料はもっとシンプルで、いまみたいに性能で選び放題ではありませんでした。筆だろうがエアブラシだろうが白を納得行く滑らかさで塗れたことはなかったし、赤も同様。メタリックカラーもバラエティはそんなに豊かじゃなかったし、つまりL.E.D.ミラージュをキレイに完成させるってとてもハードルの高い目標に感じられたのです。

 どっこい今は21世紀。ボークスからは最新のロボットプラモ基準の可動性能とシャープなディテール、そしてアップデートされたプロポーションを兼ね備えたL.E.D.ミラージュが発売され、さらに模型店に行けば素晴らしい発色の塗料と魔法のような接着剤、そして工作時間を思い切り短くしてくれる多様な工具が並んでいます。ボークスから新たに発売されたL.E.D.ミラージュのパーツ状態でのレビューは以下の記事を参照してください。

 設定通り半透明で成形された白い外装のパーツはそのままだとディテールがちょっと伝えづらい印象です。今回は「形状と表面の彫刻をしっかり見せたいな」と思い、あえてソリッドな白で塗装することにしました。光の透けがなくなることで陰影がくっきりします。なるべく短い時間でガッツリ発色してほしかったので、模型店で安定して購入できるもっとも隠蔽力の高い白、GSIクレオスのMr.カラーGX クールホワイトをエアブラシで塗っています。最近は気温も高いので乾燥が早く、塗装が捗ります。濡れた面を作ることを意識すれば、結構濃い目に吹いてもツヤありの表面が手に入りますね。

 ちなみにキットの説明書では本編設定通り半透明の白にパール系の塗料でコーティングする方法が示されています。もちろんこれはあくまでひとつの手引きですから、皆さんはイメージに合った白を見つけて塗りましょう。

 さて、赤い部分もクリアーレッドで成形されているのがこのキットの特徴です。こちらも白と同じようにソリッドな赤で塗ります。最初クリアーレッドの上からガイアノーツのGP-02 プレミアムレッド(限定カラーを後生大事に取っておいたのだ)を吹いたのですが、クリアーパーツにソリッドの赤を塗っても結構透けます。透けをなくすために先程のクールホワイトを混ぜて下地塗料がわりとし、さらにプレミアムレッドを乗せることで透けのない赤になりました。

 フレームはせっかくなので成型色そのまま、組みっぱなしで使います。フレームと外装の接着は小さなピンを介して行いますが、案外貼る部位が少ないところが見受けられるので、塗装済みの外装パーツを貼るなら速乾タイプの流し込み接着剤をダボに少し流すか瞬間接着剤でカチッと貼るのが良さそうです。

 その昔、L.E.D.ミラージュは腰部装甲もカウンターウェイトも全部「シルバー」という塗装指定が一般的でした。最近の設定では腰部装甲などがテカテカに輝くシルバーで、カウンターウェイトは暗めのメタリック。そして関節部にもある程度金属感が入るなど、情報量の多いリッチな仕上げがトレンドです。今回は「四半世紀のオレ、見てるか〜?」という仕上がりを狙うので、シルバーは現状入手が楽チンできれいな輝きが特徴のMr.カラー スーパーメタリック2 スーパージュラルミンを使用。暗めの部分にはガンメタルを使いました。

▲腰部装甲を下面から覗く。複雑なアウトラインと裏面のディテールが嬉しい!
▲ベイル裏面も暗いガンメタリックで塗装。ケーブルは成型色のままで、明度のコントラストを演出!

 白いロボットで悩ましいのがスミ入れ。キットの塗装指示はあくまでユニットごとの色を示したものであり、凹ディテールにどんな影色を入れるといいのかは書かれていません。半透明装甲だとやや薄いグレーなどが馴染むようですが(メーカーの完成見本の写真を見ても薄いグレーを使用しているように見えます)、今回はあえてコミックスや設定イラストのように主線がバキッとした見た目を追求します。タミヤのスミ入れ塗料(ブラック)をそのまま使用するとかなりノスタルジックな(’90年代後半に自分が求めていたタッチはこれだ!という)仕上がりになります。

▲タミヤのスミ入れ塗料を流し込んでからエナメル溶剤を染み込ませた綿棒ではみ出しを拭きます
▲脚部前面の赤いパーツは両サイドに凸の線が彫刻されているのでマーカーで黒く塗りました。ノーマスキング!

 デカールはその面積のほとんどが「お好みで使えるナンバー」となっており、貼らなければいけないものはそこまで多くありません。今回はわりとシンプルめにまとまるようピックアップして貼ります。

 それからもうひとつ、今回のキットでとても嬉しかったのが「足首ヒールの直立形状/展開形状」を選択できること。ヒールが直立していると脚が伸びて相対的に等身が上がる(全体にシュッとした印象になる)のですが、ヒールを展開形状にするとプラモデルに親しみ始めた頃に感銘を受けた「ドシッとしたL.E.D.ミラージュ」に近づいてくれます。どちらか決めて組み立てる設計なので、お好きな形態を決めてから取り掛かりましょう(完成後はソールさえ接着しなければ差し替えて遊ぶことも可能です)。

 フレームの組み立てと外装パーツの切り出しに1日。基本塗装に1日。そして最後の組み立てと調整でさらに1日。こまかな塗り分けや合わせ目消しはスキップしていますが、かなり満足感のある仕上がりとなりました。ランナー枚数は30を超えますが、バシバシ切って貼っていくと案外シンプルなパーツ構成であることに気づきます。

 ベイル装備ということであえてオールドスクールなスタイルで完成させたL.E.D.ミラージュですが、時代とともに移ろいゆく設定と照らし合わせながら思い入れのある姿で仕上げられるボークスの新アイテム。ロボットプラモに魅入られた人ならば人生で一度は作りたいであろう最強の幻像を、ぜひともあなたの手で完成させてください。パチ組みからフル塗装まで、どんな仕上げでもきっと期待に応えてくれるはずです。みなさんも、ぜひ!


■「IMS 1/144 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様
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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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