アオシマの傑作「1/700 日本海軍 駆逐艦 初霜」初めての艦船模型にもオススメできる、素晴らしいバランスのキットです。駆逐艦は「サイズがコンパクト」「パーツ数も戦艦と比べてとっても少ない」「小さな船の中に生まれるギュウギュウの密度感による満足度の高さ」を、艦船模型の中で最も味わいやすいので僕は大好き。船の形にできるというゴールにも辿り着きやすいのもおすすめの理由です。
そんな駆逐艦プラモの中でも、今回紹介するキットは絶品ですよ。
本キット、まずは外見がとっても美しいです。甲板、各構造物、そして船体側面のモールドが模型映えするようにメリハリある彫刻となっていて、作る前から目を喜ばせてくれます。機銃などは過剰なディテールを追求することなく、モチーフの特徴を捉えた無理のない造形となっているので、銃身が曲がったり歪んだりせず綺麗な形状を保っています。
駆逐艦は下の写真のように、船体、艦橋、煙突、主砲や魚雷発射管といった大きなユニットごとに組んでいきます。そしてそれら大きなユニットが完成したら、船体にそれぞれ合体させていきます。
ほぼ船の形になってから、大戦後半の日本海軍の船にはさらなるお楽しみがあります。それが大量の機銃の接着です。これによって小さな駆逐艦の中に、さらなる密度感が生まれます!
小さな機銃をピンセットでペタペタとたくさん貼っていく……この時間は周辺の音が聞こえなくなるほど集中する「ゾーン」に突入です! そしてついに完成なのです。
艦船模型は小さなパーツをカチカチと合わせていくパズル的楽しさがあります。小さなパーツに刻まれた美しいモールド、そしてそのような小さなパーツが集合して生み出す艦船模型にしかない凝縮された世界は“組むだけ”でも楽しめます。アオシマの初霜は、組みやすさとディテールの美しさ、パーツの量と、艦船模型をまずは組んでみたいという人にとって最高のバランスになっています。多くの人が船の形まで辿り着ける、ゴールが見えやすいこの「アオシマ 1/700 初霜」で、ぜひ艦船模型の世界へと漕ぎ出してください!
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)