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体感したリアルを自由に変換して遊べる贅沢。街歩きで楽しくなる車模型。

▲美しいアバルト。街を歩くだけで、素敵なデザインに出会える

 街を歩いているだけで幸せな気持ちになれる。車模型を作るようになってから、いつもの景色がプラモの景色になった。近所、観光地、おしゃれスポット。車は必ずと言っていいほど存在する。そしてそのどれもがみな表情が異なっていて、「あ〜、車の模型って外で受けたインスピレーションを自由に楽しんで良いキャンバスなんだ〜」って思えるようになった。

▲イベントタイアップの車は、彩りや飾り付けなどのアイディアの宝庫。人が楽しそうにしている様子も最高だ
▲色褪せたり、パネルの縁が錆びていたり……経年変化した車の美しさにも出会える

 説明書や箱のイラスト通りに塗っても楽しいし、街で見た景色は綺麗に作っても汚してもかっこいいぞってことを教えてくれる。こんなにも楽しみに溢れている模型ってなかなか無い。リアルを見て、リアルに作ろう!ともなれるし、リアルを見た印象を抽出して模型に投影することもできる。最高だね。

▲うまく塗り分けられなかった。あと毛とか埃もついた。でもね、汚せばわからない

 僕は「フジミ アウトビアンキ A112 アバルト」を作っていた。オレンジカラーは、街でフォルクスワーゲンビートルの色がカッコよかったから、それを拝借した。久しぶりに綺麗に作ろうと思っていたのだけれど、まぁ、色々ミスった。塗り分けがぺろぺろだったり、せっかちなので埃や指紋をつけちゃったり。でも街中には汚れているリアルも存在した。車を汚して仕上げるなら、そんなミスもプラスになるって感じがする。戦車模型とかも大概そんな感じで上手くいったりしている。

▲Mr.ウェザリングカラーがあれば、難しいことはしなくてもカッコよくなる。グランドブラウンとマルチグレーはとっても便利な色だ

 Mr.ウェザリングカラーは、塗ってから専用のウェザリングカラーうすめ液を含ませた綿棒や筆で拭ってやると、表面がいい感じに汚れた雰囲気になる。塗料を残し気味にすればハードな汚れも楽しめる最高の塗料だ。この2本で汚してみる。

▲汚したい部分に、ちょんちょんとグランドブランで点を置くように塗っていく
▲乾いた綿棒で伸ばしたり、うすめ液を含ませた綿棒で綺麗に塗料を拭ったりして、好きな塩梅の汚れになるようにする。汚れ塗装によって模型の表情が変わるこの時間が、最高に楽しい
▲ボサボサの使い古した筆で叩くと、表面がジラついたような汚れを、お手軽に表現できる
▲タイヤの汚れは見る人に「この車がどこを走ってきたか」を想起させる。街走りって感じでマルチグレーでタイヤを汚す。茶色で汚せば、オフロードを走ったのかな? なんてイメージを持たせられる
▲黒はプラスチックの色にそのままマルチグレーを塗って汚した。ウェザリングカラーを塗ると、プラスチックのツヤが落ちるので、プラの色を活かしたまま雰囲気を出せる。プラの色と相性の良い塗料なのだ

 街を散歩して受けたインスピレーションを模型に投影できる贅沢。車やバイクのプラモは作る楽しさだけでなく、最も身近に物を見ることの楽しさも味わえる。

 僕が受けたイメージは僕の中にしかなく、体感したリアルを自由に変換して遊べるからこそ、車やバイクのプラモって楽しいんだな〜と完成した「フジミ アウトビアンキ A112 アバルト」を見て思ったのだった。おしまい。

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フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。

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