街を歩いているだけで幸せな気持ちになれる。車模型を作るようになってから、いつもの景色がプラモの景色になった。近所、観光地、おしゃれスポット。車は必ずと言っていいほど存在する。そしてそのどれもがみな表情が異なっていて、「あ〜、車の模型って外で受けたインスピレーションを自由に楽しんで良いキャンバスなんだ〜」って思えるようになった。
説明書や箱のイラスト通りに塗っても楽しいし、街で見た景色は綺麗に作っても汚してもかっこいいぞってことを教えてくれる。こんなにも楽しみに溢れている模型ってなかなか無い。リアルを見て、リアルに作ろう!ともなれるし、リアルを見た印象を抽出して模型に投影することもできる。最高だね。
僕は「フジミ アウトビアンキ A112 アバルト」を作っていた。オレンジカラーは、街でフォルクスワーゲンビートルの色がカッコよかったから、それを拝借した。久しぶりに綺麗に作ろうと思っていたのだけれど、まぁ、色々ミスった。塗り分けがぺろぺろだったり、せっかちなので埃や指紋をつけちゃったり。でも街中には汚れているリアルも存在した。車を汚して仕上げるなら、そんなミスもプラスになるって感じがする。戦車模型とかも大概そんな感じで上手くいったりしている。
Mr.ウェザリングカラーは、塗ってから専用のウェザリングカラーうすめ液を含ませた綿棒や筆で拭ってやると、表面がいい感じに汚れた雰囲気になる。塗料を残し気味にすればハードな汚れも楽しめる最高の塗料だ。この2本で汚してみる。
街を散歩して受けたインスピレーションを模型に投影できる贅沢。車やバイクのプラモは作る楽しさだけでなく、最も身近に物を見ることの楽しさも味わえる。
僕が受けたイメージは僕の中にしかなく、体感したリアルを自由に変換して遊べるからこそ、車やバイクのプラモって楽しいんだな〜と完成した「フジミ アウトビアンキ A112 アバルト」を見て思ったのだった。おしまい。