
E-75ビエラフースラー型戦車は戦闘による砲塔破損等により様々な現地改修を受け、後にその仕様が制式配備されるケースもあった。「ナハトオイレ」は、次第に飛行高度を上げる連合軍爆撃機に到達すべく開発された巨大なサーチライト「シャインヴェルファー43」をビエラフースラー型車体上部に搭載、12.8cmツヴィリングなどの高射砲と合わせて用いられた。また地上戦においても、味方戦車と対峙する敵車両や歩兵に対しその強力なライト(2.4ギガカンデラ)を照射し視覚と方向感覚を狂わせた……というのは全部架空の話(キットの説明書より引用しました)。
架空兵器プラモ、とくに「第二次世界大戦にこんな兵器があったかもね」というのはリアリティラインの設定がむずい。計画だけはあったけど作られなかった戦車とか、計画すらされてなかったけどこんなんがあったかもね、はギリギリ「え、そうなの!?」と騙される可能性があるけど、「じつは4本足の戦車がありました」とか言われても「いやそれはウソですね。ないもん。それはダグラムじゃん!わざわざWWIIでやんなくてもよくない?」ってなりませんか?オレはなる。だからちょっと架空レベルが高すぎるものは避けてきたんですけど、純粋に「四本脚でサーチライトが歩く」というのはファニーだな、と思って紹介することにしました。オープンザボックス!
>ホビコレ 1/72 ドイツ軍 ビエラフースラー “ナハトオイレ” 4脚型サーチライト投光車

いきなり目に飛び込んでくるドイツ戦車っぽさ120%の造形。パンターとかティーガーとかキングタイガーとかさんざん触ってきたから、これがエンジンデッキでT字型の断面を持った車体後部装甲もありますね、ということが直感的にわかる。これは戦車好きの知識や経験をハックして「あったかもしれない!」と思わせるトリックですね。ここだけ見ると「思ったより戦車じゃん」となってしまう我々のチョロい認知能力よ。

そしてこのパーツたちが投光器……つまいクソデカサーチライトです。ボルトのディテールとかは「あ、なんかリアル」と思わせる手がかりになります。戦艦大和に装備された探照灯が直径150cmだったということですから、まあこれくらいデカい投光器というのは存在し得るわけですね。実際に戦車の車体に載っけて動かしたとか、あまつさえ4本足で歩くメカに載せるかというと、まあ調べた限りそういう史実はありまへん。でも自分でギコギコ歩くクソデカ投光器があったらたしかに面白いな……。

と思ったら、いきなりの機銃が2本。これは「クーゲルブリッツ」(実際にはごく少量しか作られなかった幻の兵器)の砲塔。潜水艦に積む予定だった3cm連装高射機関砲塔を戦車に無理やり載せようぜ〜という作戦だったのですが、いろいろあってあまりうまく行かなかった様子。いきなりここは「現実に存在したパーツ」なんすよね。虚構と現実がひとつのメカの中でガッチャンコしている。ところで投光器が乗っかるのにこの砲塔はどこにつくんですか?


なるほど、嘘八百だけどちょっとのリアルをいい塩梅でまぶすのが架空兵器のおもろいところかもね……なんてシメようと思ったんです。最後に脚のパーツをしげしげ見ていたら気がついた。脚って、キャタピラより作るのも塗るのも楽じゃね?と。大量の転輪もチマチマつなげる履帯もなく、いきなり戦車が立ち上がって歩く!戦車っつうか、なんか鉄板で出来たものを塗ってサビとか描きたい、しかし面倒な足まわりは組んだり汚したりするのをスキップしたい!そんな気持ちのときに、「歩く戦車」は結構いいチョイスなのかもしれません。まじまじ眺めてみるもんですね。オレも架空兵器のノリかた、やっとわかりました。これ、組みます。
>ホビコレ 1/72 ドイツ軍 ビエラフースラー “ナハトオイレ” 4脚型サーチライト投光車