肴は炙ったイカでいいけど、工具のグリップは木製がいい。やはりプロゴルファー猿を観て育った人間は木製至上主義になってしまうことに疑問の余地がありません。
先日、静岡で行われたハンドメイド系のイベント「クリスマスフェスタ」でひとめぼれして工具を購入しました。彫刻刀などを製造している道刃物工業から今年の夏に発売されるというホビー鋸です。量産の目途がまだ立ってないとの事で現在は細々とした先行販売期間だそうです。
グリップを見て自分の中の猿が叫ぶようです。工具は当然その性能が一番に語られるべきであるのでしょうけれど、でも見た目も大事にしたい。さて、プラモデルでのこぎりというと、タミヤのカッターのこや精密ノコギリなんかがメジャーでしょうか。どっちもお手頃価格ですごく使いやすいですしね。私も愛用してます。
ホビー鋸のスペックは板厚0.2mm、刃のピッチが0.7mm。板厚は刃の厚さで、細ければ細いほど切った時に滅失する部分が少なくなります。その分強度が減るし、切りにくくなる。
刃のピッチは切り口の綺麗さにつながりますが、一般的に切れやすさとの二者択一。この二つの数字を見れば、どのような切れ味を目指したのこぎりなのか分かるようになります。タミヤの精密ノコギリは板厚が0.1mm、ピッチが0.5mm。同じくタミヤのカッターのこは板厚が0.4mm、ピッチが1mmくらいですかね。いかん、猿らしくない内容になってきた。とりあえずわいはプラモで使うから実際に切ってみるで。
うーん、すっぱり。さすがは道刃物工業の刃物。素晴らしい切れ味です。見てくださいこの切断面。切りっぱなしですよ。なんというつるつる具合。サルスベリのようですね。刃を拡大して見ると分かりますが、押しても少し切れるような形の刃に見えます。切り始めに押し切りで跡をつけるのにちょうどいい感じがします。
切断面がちょっと暴れるけど素早く切れるカッターのこと、耐久性にやや難があるけど極めてキレイに切れる精密ノコ。逆を言えば、時間をかければ精密ノコギリでもいいし、断面を気にしなければカッターのこでもよい。性能だけで語るなら、道刃物工業のホビー鋸はこの「早さ」と「綺麗さ」を両立する中間に位置します。これをどれだけ評価するかで必要性は変わってくる工具でしょう。両立していることは本当にすごいことなのですけど。
……ただそんなことはどうでもええ。このグリップが超かっこええんや。
少し立っている角をヤスリで丸くしてオイルを入れてあげましょう。自分の手に合った形にできるというのも大きめの木製グリップの利点です。完成。おお、わいだけのクラブ…もとい工具や。
切れ味が抜群で、持った時に吸い付くようにピッタリくる工具。お気に入り工具セットの仲間入りです。
このグリップをみて心の中の猿が叫んだ人は、夏の発売を待って、ぜひ一緒にプラモのパーツにのこぎりの刃をモズ落とししましょう。