プロモデラーの工作を追体験できるHow to本/『Let’sTRYビギナーズ2!!!』

▲掲載されている作例群に含まれていなくても、是非「今作っているキット」を横にして読んで欲しい。

 月間モデルグラフィックス誌の連載「Let’sTRYビギナーズ!!!」の2冊目の単行本が刊行されました。1冊目の単行本から実に10年。基本的に毎号1ページ(完成回に増ページ)の連載スタイルなので「連載をまとめて読める」ことの恩恵をマンガ単行本以上に感じられる本です。

 プラモデルの「作例」には大きく2系統あって、ひとつは教本として工程を見せるための「製作サンプル」としてのモノ、もう一つはモデラーの作家性を押し出した「作品」としてのモノ。多くの場合「製作サンプル」を紹介していくスタンスなら教科書的な本に、「作品」を紹介していくスタンスなら作品集的な本になるのですが、本書はその2系統が50:50で融合したような構成になっています。

 著者である伊藤霊一氏の「How to 記事自体まで含めてた上で作品としている」スタイルが独特の読み味を生んでいます。1ページ4コマ4段フォーマットで一つのキットを改造して仕上げるまでの過程をこれでもかという程に詳しく、同時にどんな効果を得ようとしてその工作するのか?という「考え方」まで解説していきます。

 お題となるプラモデルキットは1980年代〜2010年代まで幅広くチョイス。それらを今ならどう作ると満足できる完成品を得られるか?というアプローチでギミックやディテールを作りこんでいきます。1巻以来11年分各々の「連載時の今」なので11年の幅のある「今」ではありますが、最近出てきた工具の利用やネオジム磁石による着脱など、文字通りここ10年程のガンプラ改造の「今」を俯瞰できます。

▲指は5本とも可動するようにに改造しました(!)。どうやって!?

 これだけ執拗に工作の一部始終を見せられるとHow to 記事というより製作の追体験としても楽しめてしまう。それでも「とても参考になるなぁ」とホクホクしながら読み進めていくと唐突に「過程を見せられてもさっぱりできる気がしない超絶工作」を見せられたりもするのだけど、もうこの本はそこも含めてエンターティメント。 追体験で得られる自分もできるんじゃないかという全能感と、やっぱりプロの技術は超絶だな!という羨望。どっちも抱けたのなら、もう少しプラモデルが上手になれるんじゃないかって思えてくる。読むと妙にやる気がみなぎってくる、そんなHow to本なのです。さぁ Let’s read !

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HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。