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【ブックレビュー】オリジナルSFメカ25体の“種明かし”が導く模型的思考/MIXINGSCAPE 空想模型モデリングマニュアル

 プラモデルのさまざまなパーツやプラ板、プラ棒、パテを駆使して生み出される「オリジナルSFメカ」。その種明かしを目の当たりにしたとき、僕たちは何を学び、どう手を動かしていけばよいのか――。

 読後に強く感じたこの思いは、僕にとってプラモデルという趣味を、さらに好きにさせてくれるものでした。彫刻家でありモデラーでもある大森記詩による単行本「MIXINGSCAPE 空想模型モデリングマニュアル」には、そんな力が確かに秘められています。

著:大森記詩
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 プラモデルとして市販されていない「オリジナルメカ」の製作過程が、ページいっぱいにびっしりと掲載されている本書。文章量も圧巻で、完成状態を見せられたあとに製作途中の姿を追っていく構成は、まさにマジックの種明かしのようです。そして、その“種明かし”の中には、僕たちがいま手元で作っているさまざまなプラモデルにも応用できる技や工夫が、これでもかと散りばめられています。

 本書は「みんなもミキシングビルドをやろう!」と強く背中を押してくるタイプの本ではありません。総勢25体ものオリジナルメカが生まれていく道のりを、ただひたすら淡々と見せ続けてくれる……そんな静かな熱量に、「俺も手を動かすか!」と背中を押してもらえたのです。

 本書に登場するメカの多くには、「ランナー」が巧みに活用されています。ランナーとは、プラモデルのパーツが収められているあの枠のこと。普段はパーツを切り出したあと、あまり意識されることなく処分してしまいがちな存在です。

 しかしランナーは、丸棒状や半丸、トンネルのような断面など、多彩な形状を備えています。その形は、オリジナルメカや細かなディテールを生み出す際に、驚くほど頼もしい素材へと変わるのです。本書を読んだあとに改めてランナーを眺めてみると、「これ、ちょうどいいジョイントになりそうだな」「あそこのディテールに使えそうだぞ」と、見え方の解像度がぐっと上がります。いつも開けているプラモデルの箱の中に、実はもうひとつの宝物がセットされている――そんなことに気づかせてくれる一冊です。

 僕が現在製作している「タカラ 1/24 スコープドッグ」においても、本書の知見がとても役に立ちました。腹部にある半丸棒状のディテールが、パーツの形状を整える際に少々邪魔で、「いったん削り落としてから作り直したほうが良いかな……」と考えていたのです。とはいえ、手元には半丸のプラ棒がありません。「わざわざ買いに行くのもなぁ……」と、ちょっとした面倒くささから作業が止まってしまっていました。

そんなときに背中を押してくれたのが、本書で繰り返し登場する“ランナー活用”のアイデアです。大森記詩のオリジナルメカには、プラモのランナーから切り取った半丸棒が接着されていたのです。おれもこの方法ならいけるぞ! と思い、半丸棒をランナーからカット。そのままの太さだとスコープドッグに合わないので、ランナーをライターで炙って伸ばし、極細の半丸棒をランナーから作り出したのでした。

 おかげで作業は一気に前進。ランナーはプラモ製作に活用できると頭で理解はしていましたが、本書の記事と実際に手を動かしたことで、より明確にランナーは武器になると確信が持てました。

 プラスチックは、パテに比べて加工がしやすい素材です。ランナーを伸ばしたり、細かく刻んだりしているうちに、「小さな隙間なら、薄いプラ板や伸ばしランナーを差し込んで接着し、硬化後に整形すればすんなり整うな」ということにも気づきました。これまでならパテを盛って乾燥を待ち、削って……と少し身構えていたような作業も、プラスチック同士で完結させる手法をメインにすることで、ぐっと気軽に取り組めるようになりました。

 本書の“種明かしパート”が、次々と僕の手を前に進めてくれたのです。眺めているだけでも面白いのに、気づけば実際の製作にしっかり効いてくる。この感覚こそ、本書を読む醍醐味と言えます。あなたにとっても絶対に手を動かしたくなる工程が、写真と文章の中にあると思います。ぜひ一読して、あなたのプラモライフを豊かにしてください。それでは。

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フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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