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覚えてる?「梨の妖精のプラモデル」があるってこと。

 ここ数年スーパーに並ぶ梨の種類が劇的に増えたんだよね。自分が子供の頃は梨の銘柄といえば「20世紀」か「幸水」かくらいしか知らなかったし、味わいはともかくパッと見で分かるような外観に違いのある梨は少なくともおつかいに出される範囲のスーパーにはなかったよ。それにしてもここ10年くらいで梨の株はずいぶん上がったと思う。ジュースもたくさん種類があるし氷菓子としても季節の定番の味として定着した。……そしてプラモデルとしても登場したしね!

 正確には梨のプラモが出たわけじゃなくて、ふなっしーのプラモデル。念のため説明しておくと「ふなっしー」は千葉県船橋市に在住する梨の妖精……という設定の地域おこしキャラクター。いわゆる「ゆるキャラ」。特筆すべきはあくまでも一市民が個人的に創作した存在であり、地域おこしキャラクターでありながら千葉県からも船橋市からも非公認であるという点。にも関わらず驚異的な速度で知名度をあげてTVでもお馴染みになったのは皆さんもご存知ですね。

 バンダイからプラモデルが発売されたのは2015年6月末。当時の新作ガンダム「鉄血のオルフェンズ」の放送を3ヵ月後に控えたタイミングでの登場でした。そんな新シリーズの始まるガンプラの開発作業の(おそらく)横で軟質素材を採用し動くたびにひしゃげるボディの再現しようというネタなのか狂気なのかわからないチャレンジに取り組んでいたのだろうと思うと味わい深いですね。

▲他には代えがたい独特の組み味(!)

 軟質部品も必要以上の型崩れを防ぐインナーフレームが入っていたり、黄色い頭と服の水色部分とが別に成型されその二つの継ぎ目がちぎれてしまわないようにとまじめな仕事が伺える。

▲軟質パーツの弾力に負けない保持力を得るべく練りこまれた腰周りの関節に注目。

 一方で軟質素材では無理があると判断した腕は無難な可動機構でまとめ、脚部に至っては「ふなっしーらしいポーズで固定」という極めてクレバーな判断を突き付けてくる。

 「なんだ、脚は全く動かないのか」等と不満を抱くのもほんの一瞬。出来上がった姿を眺めてみればそんなことが実に些細なことに思えてくる。膝の曲げ具合、もう一方の足の伸ばし具合、ペコペコ追従する軟質の胴体、頭の中で再生される甲高い声。「完成度が高い」というのはこういうことを云うんだろう。

 深まる秋。今年の梨の季節はもう終わるけど、ふなっしーのプラモデルはまだ買える。旬は過ぎたかもしれないけどもこの記事を書いてる時点ではまだ店頭でもちらほら見かける。僕もスーパーに並ぶ梨を眺めているうちに思い至って先日買った。来年の梨の季節にはこうはいかないかもしれない。だから今のうちに保護しておこうと思ったんだ。

 プラモデルはいつの間にか無くなってしまうものだから。そう、妖精みたいにね。

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HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

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