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俺の「THE CAN」はドラム缶/KICK THE CAN CREW in the 武道館。

 武道館にKICK THE CAN CREWのライブを見に行った。長い付き合いの友人がチケットを取ってくれたのだ。彼が「なんかさ、ずっと聞いてるのってKICKだけだなって思って」と言っていて、確かにそうだなと思いながら電車で武道館を目指した。

 受動的にライブ参戦を決めたような感じではあるが、KICK THE CAN CREWは大好きだ。中学生の頃にハマって、活動休止の期間もずっと聴いていた。KREVAがフェスでMCUとLITTLEを呼んだり、楽曲に参加させたりと、ときおり再結成を匂わせるようなことをするから、なおさら復活の気運を心に抱きながら大人になったというのもある。

 2018年に活動開始したときは、当時のHIPHOPブームの中でラスボスといった感じで現れたので本当に驚いた。そして、そのときに発表された千%を聞いて、気づいたら泣いていた。

 武道館には、あの頃B-BOYやB-GIRLだったんだろうなと思わせるお兄さんやお姉さんがちらほら。いまとなってはふだん身に着けなくなっているだろうベースボールキャップはまっさらで、ファッションというよりはライブ参戦のためのコスチュームという感じでなんだか初々しくすら映る。

 ライブが始まると、3曲目にメジャーデビュー曲の『スーパーオリジナル』が流れ出して「うおっ!?」と驚きと喜びの混ざった空気が会場を包んだのが印象的だった。その後も昔の曲をいくつもやってくれて、マジでよかった。まさか2022年になって『ユートピア』や『LIFE LINE』を聞くとは思わなかった。私の斜め前にいたお姉さんは、そのあたりからずっと泣いていた。

 「普通なら一旦引くんだけど、今日はこのまま行きます!」というKREVAの声で突入するアンコールは、3月に発売されたアルバムのリードシングルの「THE CAN」。

 「缶蹴りっていう遊びは、目標に向けて何度も何度もチャレンジするんです。ただ、あの頃は500mlのデカい缶を蹴ろうとした人も、小さな缶になっちゃったかもしれないし、ベコベコになって遠くに飛ばない缶を蹴っているかもしれない。あの頃と違う缶を目指している人も生き抜いていきましょう」

 こんな感じのKREVAの熱いスピーチで突入するTHE CANは最高にかっこよかった。なのでライブが終わった翌日に、気づいたら缶のプラモデルを買いに行っていた。缶は缶でもミニアートの1/35スケールのドラム缶だけど、ライブの盛り上がりのままに作るプラモデルは絶対楽しいし、それに「俺のカンケリはジュースの缶じゃなくてドラム缶ほどデカくなったんだ」というのもなんだか面白いと思うからだ。

 KICK THE CAN CREWの活動開始後のアルバムのタイトルは最初が『KICK!』そして今回が『THE CAN』ということで、次のタイトルは容易に想像がつく。次のアルバムが発売されるころは何をしているだろうか。とりあえず、3つの缶を作って時折眺めながら、その日を楽しみに待とうと思う。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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