小学校3年生から高校生まで、毎日校庭でサッカーボールを蹴っていた。蹴っていない日は「雨」が降った日だけ。雨や雷の日以外練習の休みが無い、一昔前の熱血サッカー部で青春を過ごしたので、「雨の日」は僕にとって特別だった。だから、雨が降った日はここぞとばかりにプラモやスーファミ・プレステをその日で消化する。今の「ガッ」と一気に作る体質はそこから生まれたのだと思う。
だから雨音は僕にとっての模型製作のスイッチ。雨音を聞きながら模型を作るのが好きなんだ。
「お父さん、車のプラモ作ってよ~」「ダァダァ、プ~」。部屋は秒で占拠され、息子は「これを作るんだ」と僕のプラモ棚からオーナーズクラブの「’71 ホンダZ 後期型」を抜いてきた。「雨だとお外にも行けないしさ、お父さんが作るの見ててあげるよ。一人だと寂しいでしょ」という子供ならではの「あの上から目線な接し方」をされると、息子も言うようになったな~と思う。でも子供たちの前でプラモを作るのは楽しい。少しだけ簡単なところは一緒にやったりしてパチパチ組んでいく。外からは雨音が聞こえてくる。
僕が小さい時、雨音を聞きながら年の離れた兄とプラモを作った。そして、ニッパーの握り方や接着剤の使い方もそこで教わったっけ。あの時は二人ともすごく集中していて、聞こえるのは雨音だけだった。
今日の景色は、まるで昔の自分が通った景色みたいだった。雨音と子供たち、オーナーズクラブ「’71 ホンダZ 後期型」が僕のプラモの原体験を思い出させてくれた。ありがとうの思いを込めて、かわいく作って息子にプレゼントしようっと。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)