「あ、かわいいな」と思ったのは顔が出来上がったときだった。説明書の手順を無視して、組み立てを後回しにしていたので、その瞬間は最後に訪れた。
30MSのティアーシャは冬頃に偶然プラモ屋で見つけたので、購入した。大きさがまるでわからないプラモデルだったので、作ってみると上半身の小ささに驚いた。腕は細いし、肩幅も狭いので華奢な感じで「女の子」という雰囲気がしっかりと表現されているなと思った。背骨がS字のラインを描いているのが綺麗で、立たせたときに姿勢よくまとまる予感がする。
作る際にはランナーをパキっと折って、フレームごとに分割する作業があるのが面白い。これによって、工程ごとに使うパーツを抽出することを狙っている。他にもフレーム単位で見ると腕や脚のパーツはしっかり左右対称に配置されていたりと、組み立てに関するストレスを極力減らそうという意図が伝わってきて面白かった
こういうのは「組み立てて遊ぶ」と「組み立てた後に動かして遊ぶ」の両方を見据えているからこその設計だと思うし、プラモデル単体だけではなく、カスタムパーツを含む商品群としての30MSなんだなというのをひしひしと感じた。
か細い身体が出来上がり、後回しにしていた顔が出来上がって「あ、かわいいな」と一瞬で恋に落ち……なんてことをやっていると、いよいよポーズをつけたくなる。
私は立っているよりも座っている人形の方が好きなので、座らせてみることにした。そうすると、腕が曲がるとか脚が上がるとかの「アクションに関係する可動」よりも好印象だった部分があった。それは太ももが回ることで女の子っぽく座らせることができることや、靴の傾き具合でニュアンスを表現できるといった「仕草に関する可動」といってもよい部分だ。
脚をパタパタとさせながら、何かを待っているような様子な我が家のティアーシャ。この姿は「自信家で勝気な性格、何事も完璧にこなすように見えてちょっとドジな一面もある」という彼女の性格に合っているような気がする。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。