プラモ塗るなら全力で握り、良く見る。俺のスプレー塗装体験

 「スロットルを握ってスピードを出した方が艇が安定する」こんな話が競艇漫画のモンキーターンの序盤に描かれている。本栖にあった競艇選手養成学校で主人公の波多野憲二が過ごしていた頃の話。
 プラモデルに始めてスプレーを吹いたときに、似たようなことを私も思った。「ノズルを思いっきり押した方が、スプレーの噴き出し方は安定しているぞ」と。
 今となっては慣れた手つきで使っているスプレーだが、最初は「何が起こるか全く分からない」という不安があった。スプレーそのものもそうだが、周囲に起こる出来事には不安と恐怖しかなかった。

 思えば「スプレーを吹く」という行為への心理的ハードルは単純に「周囲を汚してしまったらどうしよう」というものであった。マンションの共用部、公園などの公共のスペース。どちらにしても何かが起こるようなことはあってはならない。
 私は実際に使い終わったスプレーの処理の仕方を誤って、缶からボトボトと塗料がこぼれ落ちているのを見たことがある。そのせいで「やっちまったとき」の印象がものすごく強い。
 なので、好奇心に負けてスプレーを噴こうと思ったときはとにかく大きな段ボールを用意した。これはネット通販でトイレットペーパーやティッシュなどをまとめて買うと結構簡単に手に入るし、住んでいる地域によっては近所で分けてもらうことも可能だと思う。

 大きな段ボールを使い、スプレーが吹きかかるであろう領域を可能な限りカバーしてスプレーを吹いてみると、思ったよりも噴射角が狭いことに驚いた。
 噴射角は狭いが、プラモデルに吹き掛からなかった塗料が埃のように舞う量はずっと多かった。いろんな人が「塗装ブースか屋外などの換気の良いところで行うこと」「マスクや保護メガネ、手袋を装着すること」などを口にするのかがよくわかる。
 また、吹いていて感じたのは観ることがとっても大事だということ。集中することで狭くなった視界では、どのように色がついていくのか、表面に塗膜が形成されていくのかがよくわかる。これこそが、スプレー塗装の楽しいところだとすら思うほどに。そういえばモンキーターンでも、スロットルを握って視界が狭くなる描写があったな……。
 圧倒的な速度でプラモデルに色をつけるスプレー塗装は「一気に仕上がる爽快感」みたいなものが私にとっての魅力だ。あとは、タイヤや細かな備品を塗り分けたら、あっという間に完成だ。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。