『シン・ウルトラマン』と『トップガン マーヴェリック』を見て作るプラモデルの話。

 私には特撮好きの弟がいて、先日帰省した際、久しぶりに話をして盛り上がった。映画『シン・ウルトラマン』の話だ。私も弟も子供の頃はどちらかというと無口で、会話の少ない兄弟だったのだが、アニメや特撮の話題だけはお互い饒舌になる。距離感の程よい友達のようでもある。

 止め処なく話は流れていくのだが、2人の話題の中心は原典との差異だ。特に、ジェットビートルの不在はどうやらお互いにかなり気になるポイントだったようだ。それらしい理由は幾つか思いつくが、それらは憶測の域を出ず、次回作でのアンサーを待とう──、という結論で2人は議論を終え、私は実家を後にした。

 2022年5月13日『シン・ウルトラマン』が公開されたわずか2週間後、映画『トップガン マーヴェリック』が満を持して公開。行った。見た。聴いた。飛び交うジェットエンジンの大轟音。肉体が耐えられるかどうかというGの表現、スピード感。孔雀の尾のように美しくばら撒かれるフレア。この2週間ずっと燻っていた(ジェットビートル不在だったが故の)人間が自ら駆るズバーッと飛ぶ戦闘機が見たい欲望は、完全に満たされてしまった。だがしかし、満腹感はそう続かない。その極上の美味を覚えてしまった身体は、さらにそれを欲するようになってしまったのだった……。

 夏のボーナスが支給されたばかりの私はフライトジャケットを羽織るとカワサキNinjaにまたがりマッハ10のスピードでRay-Banのサングラスを赤熱化させながら模型屋に急行。店主とがっちり握手を交わし賞与袋をレジにダイレクトシュートするなり店に陳列された大量のスーパーホーネットとP-51マスタングのプラモデルを買い付け……はしなかったが、ハセガワのF/A-18Eをひとつと、気に入った塗料をいくつか買って帰路に着いた。

 ハセガワの戦闘機は今回で5機目の作成だが、今回もなかなか強敵だった。特に平行四辺形のインテーク部分が手強い。くの字のパーツを2つ貼り合わせるようにして接着するのだが、うまく位置が決まらず、本体との隙間も出来てしまう始末。難しい。しかし出来てみると、なかなかどうしてエッジがシャープでかなりカッコ良い。ちょっと出来損ないだが、EASYモードでは手に入らないレアアイテムを手にしたようでもある。

 ランディングギア格納状態への加工もチャレンジした。段差はあるが気にしない……と自分に言い聞かせるがやはり気になるものは気になる。だがしかしこれも出来てみるとどうだろう、接着は50点だが、造形のパワーが200点なので平均すれば125点の仕上がりに。最高ではないか。

 布で磨けば光沢を増す面白い塗料、Mr.メタリックカラー・クロームシルバーをエアブラシで吹く。ガチャガチャした質感を出す為、ざらつきのあるJKワイパーでガシガシ磨いてみる。指に粉が付き部分的にウルトラマンっぽくなる私。とても良い。

 クランベリーレッドパールも凄く良い発色だった。このマスキングを剥がす劇的瞬間を見る為に模型をやっているのかもしれない。絶望に変わることもある、からこそ。

 最後に、自作デカールで作った「禍特対」のマークを翼に張り付ける。できた。子供の頃からよく見慣れた、私の大脳皮質に長いことメモリーされ続けてきた、あの赤とシルバーの戦闘機の幻影が何の因果か2022年、私の最新の興奮と結びついた。キメラ的ミクスチャー的パロディ的スーパーホーネットが今ここに完成したのである。
 何の深い理由もない私の軽率な思い付きに、しょうがねぇなと言いながら、時にはこちらを突き放しながら、ちゃんと付き合ってくれるプラモデルは距離感の程よい最高の友達だ。「トム・クルーズがウルトラマンになったりしてな!」普段無口な私とプラモデルは、そんな会話を確かにしたのである。

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ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。