車が纏っているからこそ、さらに魅力的に見える「色」がある。そんならしさを一身に浴び、そこにある車を見て、「僕たちが楽しんでいる車模型ってこんなにも色に愛されている世界なんだ」と、ホールを歩くたびに思ったのだ。
動力を積んだ塊を、いかに美しく見せられるか、いかに速く走らせることができるか……人間の様々な欲望の塊が結集して生まれている物だからこそ僕たちは心を惹かれる。その塊を彩る「色」は、人間の最後の美意識を注ぎ込む瞬間だ。世の中に送り出すに恥ずかしくない色。つまり「かっこいい色」ってわけだ。
黄色のフェラーリが時に愛おしく見える。でもプラモを作る時「フェラーリと言えば赤」と言った感じでついつい赤いスプレーを握ってしまう。こうやってまじまじと黄色いフェラーリを見ると、「この車、黄色に愛されてるな」と実感する。僕はもう黄色で塗ることにためらいはなくなった。
色を愛し、色に愛されてきた車たち。その返歌を僕たちはプラモデルで返すことができる。自分の目で感じた「らしい色」と言うものを、好きな車に好きなだけ塗って遊んで良い。これからの僕のプラモ人生も色を愛していきたい。美しい名車との指切りげんまん。どんどんプラモを楽しんで行こうと思う。
那須クラシックカー博物館
〒325-0304
栃木県那須郡那須町高久甲5705
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1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)