最新記事やプラモデル情報を毎日お届け!
follow on Xをフォロー!

シンプルに強いシルエット/タミヤ ヤークトパンサーを組む。

▲イギリスで見た。

 タミヤといえば戦車模型。戦車模型といえばタミヤ。1/35で展開されるミリタリーミニチュアシリーズはすでに370を超えるアイテムが発売されてきました。すごいな!そしてプラモ大好き少年はタミヤのカタログを貪るように読んだり模型屋さんで箱をン千回と眺めているうちにいつしか全部を知ったような気になってしまうわけですが、よく考えたら組んだことあるもののほうが少ない。これはまずい。
 いくら名作で、いくら語り尽くされていたとしても、自分で組まねばわからんこともある。ということで組む。ということで、どうみても強そうすぎるシルエットのヤークトパンサーです。

 パンサーという戦車が強い。そんならそこにもっと強い大砲を乗っけて装甲板もメキメキに分厚くしよう……というコンセプトのヤークトパンサー。みんながパッと思い浮かべる戦車とは違う。なぜなら車体からいきなり大砲が生えているから……。そういうことを無言で強力に分からせてくるのがこの車体パーツです。
 上下2つがいきなり箱にゴロンと入っていて、それを合体するだけで有無を言わさぬ力強さ。この時点で誰が見ても硬そうでヤバそうということが伝わるのがすごいことだと思う。

 ついでに重い。重いので車輪がいっぱいついています。どれくらい付いているかと言うと……。

 3個とか4個とかそんな生ぬるい話ではなく、車輪を互い違いにミルフィーユみたいに重ねないと地面にめり込んでしまうということが分かり始めます。内側の車輪がトラブルを起こすと外側から全部はずしていかないとまともに整備もできない……と宮崎駿が漫画で描いていましたが、組み立てるとそれが一撃で理解できます。
 ドイツ人は戦争に勝つためにとんでもなくめんどくさいことを考え、それを実行し、現場で兵士が「まじかよ……」となっていたことが想像に難くありません。

 大砲の付け根にあるスーパー分厚い装甲は鋳造された鉄。これまたタミヤのプラモは偉いので表面にボコボコした彫刻を入れて「ここ、めっちゃ分厚い鋳鉄なんですよ……」と教えてくれます。
 戦車ってなんかマニアックな物体だから知識が先行しがちですが、いきなりカッコだけ見て買ってきた私がパーツを組み立てるだけで「ホゲェ!」と驚いてしまうので、これはもう誰が見ても奇妙な機械だし、日常の風景にあったらビビリ散らかしてしまうことでしょう。戦車模型というのは、普通に生きてると絶対に見ないようなモンスターの標本なのかもしれません。

 キャタピラは黒くて柔らかい素材で出来ているので、車輪にぐるっと巻けばベージュとの対比でバリッと締まります。素早く作って形を楽しみたいときはこの「ベルト式履帯」が入っているかどうかをお店で確認するのが吉。一枚ずつ貼り合わせてキャタピラの形を作っていくタイプのプラモもあるので要注意です。

 大量の車輪とめちゃくちゃ長い大砲を組んだらほとんど全体の形は見えたようなもの。しかし戦車は中に隠れたまま外を眺める装置とか、泥にハマったときに助けたり助けてもらったりする道具とかが車体の外側にたくさんくっついています。こういうちまちましたパーツをピンセットで貼っていると、静かに時間が流れていき、さらに目の前に狂気そのものが立体となって出現していくという不思議。

 お茶呑んだり横目でテレビを見たりしながら150分で完成。このまま飾っても明らかに部屋の雰囲気がガラリと変わってしまうほどの存在感を持ったヤークトパンターが手に入ります。ここから色を塗ってもっともっと凶暴な雰囲気にするのも楽しい(ので、塗りたい!)。それにしてもめちゃんこ大きい。これよりもっと大きい駆逐戦車がいるらしいので、それを組んだらもっとビビるのでしょう。
 どう見ても強いパーツが組み合わさって、最後に案の定強そうすぎる形の物ができる。戦車模型のなかでも超大振りな初速が出ているタミヤのヤークトパンター。少しだけこまかいパーツがありますが、接着剤とピンセットを使ってゆっくりと組み立てていけば必ず組み上がります。これはすごいな!と思った人は組みましょう。それじゃあまた、次の戦車で……。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

関連記事