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プラモを修理したら、大量生産品が「かけがえのない一台」になった話。

 「靴は他人の作った靴を直すのが一番難しい」と聞いたことがある。腕時計もそのようで、何度修理に出しても止まってしまうものがあって困っていたのだけど、友人を介して別の人に頼んでみるとあっという間に直ってしまった。修理をした彼に何をしたのか聞いてみると「一度バラして組み立て直しただけですよ」と話してくれて、どうやら修理ひとつとっても腕の差があるようだなと察するに至った。

 「せっかくくれた車のプラモデルを、落としてしまって壊れちゃったの」と言われたその数ヶ月後、タイヤと前後のバンパーが取れたタミヤの1/48 シトロエン11CVスタッフカーが私の部屋にやってきた。以前だったら新しいものを作って渡していたと思うが、靴や時計で「壊れたものと全く同じものを手にしたところで、それは同一のものではない」ということを痛感していたので、修理をすることにした。

 シャーシに残っている軸にピンバイスで穴を開けて真鍮線を差し込み、その後瞬間接着剤で固定。ホイール側の折れて短くなった軸にも穴を開けて軸の修復を行う。真鍮線を差し込むための穴を中心に開けるのが難しくて少しズレてしまったが、そのあたりは織り込み済み。φ0.6mmの穴に対してφ0.5mmの真鍮線を差し込むことでズレを解消できるようにしていた。

 軸を修復した後はホイールを接着して、10分ほど時間を置く。固定されたのを確認してから残りのバンパーも付け直して、組み立てるよりも長く感じられた一連の作業は無事に終了した。靴や時計はメンテナンスや修理を行うことで長く使えるし、よりいっそう愛着も湧く。プラモデルも修理をしてみると、そういう気持ちになるようで、私もいい経験になった。靴と時計の修理の話は続きがあって、どちらも「修理をすることは勉強になる」というようなことだった。

 いつもなら失敗したらまた買えばいいと思うプラモデルだが、完成品を修理するとなると、手順も材料もどう用意すればいいのかは自分次第。確かに勉強になったし、失敗したら一巻の終わりというのも緊張感があった。「直せるよ!」と言って実際に修理し、直したものを渡すと喜んでくれる。大量生産品のプラモデルがかけがえのない一台になっているのを目の当たりにできて、とても気分が良かった。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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