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人間とロボットの境目に、新しい組み味のプラモがある/「増幅された」バットマンの話。

 箱を開けると飛び出てくるパーツたち。一見するとガンプラのようだけど、アイコニックな形状とシャープなエッジがいつもと違うオーラを放っている。このプラモ、皆さんご存知の「バットマン」をプラモ化にあたって強烈にデザインしたアイテムだ。
 いわゆる柔らかいスーツを着たヒーロとしてのバットマンではなく、メカニカルで硬質なディテールのバットマン。バンダイスピリッツは『スター・ウォーズ』や『ドラゴンボール』の登場人物なんかをプラモデル化してきたけど、それらは硬質なプラスチックで柔らかな造形を可動フィギュアとして組ませるというアイテム。対してこのバットマンは、あえてロボットのようにカクカクしたディテールにアレンジし、本来的に同社のプラモが得意とするフィールドに持ち込むというすごい戦法で挑んでいる。

 唯一柔らかそうな造形は、顔のパーツだ。肌色の口元がスーツの中から覗くこの部分だけが「人間のプラモだ!」ということを知覚させてくれる。つや消しスプレーをさっと吹いて、ベージュ系の暗色を流すと陰影が強調され、すごくリアルに見える。
 ここ以外はすべて硬質でメカニカルなロボットプラモを組み立てるのに似た組み心地だが、Figure-rise Standard Amplifiedシリーズでこれまで発売されてきた『デジモン』関連アイテムと同じ文法のパーツ構成なので、大ぶりでサクサクと形になりながら、豊かな面構成でみるみるうちに情報濃度の高い造形が手中に収まっていく感覚が気持ち良い。

 このプラモにはメタリックがよく似合う。ゴールドのパーツはそのままでも充分ゴージャスなルックだが、お好みの金色で塗装することですごく見栄えがするようになる。黒い部分もただのフラットブラックではなく、GSIクレオスのグラファイトブラックを塗ったし、金の部分はスーパーリッチゴールド、グレーの部分はメタリックグレイで塗った。艶がそれぞれ異なるツヤ感になるだけでもずいぶんプラモらしさが軽減され、重量感のありそうな仕上がりになって良い。

 可動性能がやたらと進化したガンプラよりも、「少し大きくてディテールフルなアクションフィギュアを簡単に組めるようにする」という姿勢が見え隠れするFigure-rise Standard Amplifiedシリーズ。そこにデジモン以外のキャラクターが加わったことは本当に嬉しく、組み慣れたモチーフとは違った組み味が楽しい(どこがどんな風に組み合わさるのか想像がつきにくいほうが、そしてその精度が高ければ高いほど、体験としてのプラモデルにおける驚きや感動は多いと思う)。

 言ってみれば、「どうすればバットマンの意匠をプラモで楽しく遊べるようにするか」という工夫が肝であり、「バットマンのカタチをしたガンプラ」ではないのが楽しい理由だろう。デザインの優位性や組んでいるときのドライブ感、そして塗装をすることで一気に華やぐそのディテールの入れ方。出来上がる造形と組み立てにかかる時間のバランスも素晴らしいと感じる。Figure-rise Standard Amplifiedシリーズ……というよりも、これくらいのボリューム感で楽しめるキャラクタープラモが増えたら、世界はかなり幸せになるはずだ。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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