幼少期の感動を、三十路の今再び。/コトブキヤ HMMコマンドウルフ

 1999年8月31日、この日付は20年以上経った今も僕の胸に刻まれている。僕の初めてのゾイド、コマンドウルフがやって来た日だからだ。

 ゾイドは言わずと知れたタカラトミーが生み出したゼンマイやモーター動力を備えた玩具シリーズだが、実はコトブキヤが動力を廃してハイディテールを追求した別個のシリーズ、「HMMゾイトシリーズ」を展開している。冒頭写真の左側はタカラトミーから1999年に発売されたコマンドウルフ(アーバイン仕様)、右側はコトブキヤのHMMコマンドウルフ(リパッケージ版)だ。タカラトミー版もHMM版も縮尺は同じ1/72。ランナー枚数を見比べるだけで如何にHMMがハイディテールを目指したキットかが分かるだろう。

 コマンドウルフは高速戦闘を得意とする戦闘機械獣。元々バイクのマフラーを思わせるスモークディスチャージャーを備えた機体だが、HMMでは四肢の付け根にディスクブレーキを想起させるディテールが追加されたり前肢の直下にはクランクケースカバーらしきディテールが加わったり、一層バイク的なアレンジが加わっている。

 タカラトミー版のコマンドウルフは毎日枕元に置いて寝るほど大好きだったので全身のディテールが隈なく頭に入っている。HMM版もシャープで良いアレンジだけど、オリジナル版にあった尻尾の▽のディテールが無くなっている点が気になった。

▲プラ板を切り出して流し込み接着剤で接着してあげると……よし!これでグッとコマンドウルフらしくなった!

 初めて塗装したキットがこのコマンドウルフだった。塗膜はグチャグチャ、所々パーツの紛失も見られるし、一つの模型の完成度としてはどうしうもなく低い。でも、初めて筆塗りをして白い機体が銀色に染まっていく感動は昨日のことのように思い出せる。これから先の人生でどれだけの数のプラモと出会おうとも、このコマンドウルフを超える出会いはきっと無いんだろうな……。
 
 ゾイドを入り口に僕はプラモを好きになり、今こうしてnippperに寄稿している。20年以上前に出会い、僕に新たな地平を見せてくれた思い出のキットと、リメイクキットを並べられる感動はひとしおだ。

 動力を失って尚輝くゾイドのデザインの美しさ。シリーズ展開15年でラインナップも充実してきたHMMシリーズ。ゾイドに触れたことのある全「かつての少年少女」たちへ。是非コトブキヤのHPをチェックしてみてほしい。僕にとってのマイ・ファースト・ゾイドはコマンドウルフだったけれど、あなたの初めての愛機もHMMシリーズとして発売しているかもしれない。

 大好きだったアイツにもう一度出会う感動、あなたも味わってみてください。

蒼人
蒼人

1989年生まれ。ゾイドとアメコミヒーロー映画が大好き。コロナ禍以前は毎週末映画館に行くのが楽しみでした。
ラジオっ子が高じてPodcastを始めました。